宮沢和史さん「クルチは三線になると永遠の命に」 棹に使われる木を育てる100年プロジェクト 沖縄・読谷村でシンポ

 三線を後世に残そうと、棹(さお)に使われる黒木(クルチ)を植樹して育てる「くるちの杜100年プロジェクトin読谷」のシンポジウムが15日、沖縄県の読谷村文化センターであった。登壇したプロジェクト名誉会長でミュージシャンの宮沢和史さんは「クルチは三線になると永遠の命となる。うちなーに沖縄の音楽が響き続ける」と活動の意義を語った。(中部報道部・屋宜菜々子)

 シンポジウムでは、筆頭賛同人の平田大一さん、県三線製作事業協同組合の仲嶺幹事務局長も登壇。3人が世界に広がる沖縄の文化、三線について語った。

 宮沢さんは、自身の南米ツアーの動画や写真を使いながら、世界中に三線やエイサーなど沖縄文化が広がり根付いていることを紹介した。イスラエル軍とイスラム組織ハマスの大規模戦闘に触れ「人間が一番求めるのは安らぎだ。三線の音色は、心に安らぎを与えてくれる」と話した。

 仲嶺さんは、三線の普及や継承のため、海外から三線製作の研修生を受け入れていることなど、組合の取り組みを紹介。「伝統とは何か、何を残すべきかを考え、伝統を知らない人へも分かりやすく伝える方法を考えていかないといけない」と指摘。「多くの人を巻き込み、伝統をつないでいきたい」と意気込んだ。

 プロジェクトでは、クルチを植えて、畑の草刈りなど管理作業を続けている。平田さんは「飽きることなく、地道な作業や聖なる難儀を楽しめる人が大きな成果を生む」と強調。100年先にも伝統文化をつなげるため、今後の活動への協力を呼びかけた。

三線について語る(左から)仲嶺幹さん、宮沢和史さん、平田大一さん=15日、読谷村文化センター

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