【寄稿】11月に向けて イメージ好転の中で(WEB版)/POKKA吉田

9月は京楽のSAOが導入店の期待通りなのか超えたのかはともかく、初の高評価スマパチということは言えた。少なくともそれまでのスマパチでのトップ評価だった慶次を超えたのは間違いない。この勢いで10月もと期待したが、導入2週間も経ないうちに新海物語も義風堂々も失敗に終わった。このためスマパチを今後も積極的に導入する意欲のある法人は11月以降のルパン、鬼太郎、Re:ゼロ、エヴァ16に関心が完全に移っている。

さて、10月のスマパチ2機種は失敗に終わったが、ここからは業界挙げての販促キャンペーン的なものが続く。まずはパチスロサミットが10月21日にベルサール秋葉原で、みんなのパチンコフェスが11月3日4日にベルサール高田馬場で、それぞれ久しぶりに一般の客を入場させてのリアル開催だ。11月は17日から19日までが全日遊連の全国パチンコ・パチスロファン感謝デーなので、日電協、日工組、全日遊連のイベント(回胴遊商も)が続くという流れだ。また日工組はKIBU NPACHI-PACHI「秋のトリプルスタンプラリー」キャンペーンということで、サミットとフェス、ファン感の3つにスタンプラリーを設定したキャンペーンを10月20日から11月26日まで実施。抽選で123名に総額333万円分の豪華景品が当たるスタンプラリーとなっている。サミットとフェスはサイト閲覧で、ファン感はファン感の抽選くじの写真をアップすることで、それぞれスタンプを獲得することができて、スタンプが増えるごとに景品当選確率が上がるという設定になっている(2個で3倍、3個で7倍)。

全国の多くのホール関係者と同じく、10月は新海と義風堂々、さらにLエヴァも含めて新機種が散々な結果になったケースが相次いだから、私も10月後半から11月の新機種市場に期待を寄せている(というか、そこを向くしか見るところがない)。このタイミングで日電協、日工組、全日遊連のリアル開催イベントが続き、参加人数がどこまで伸びるかは不明でも3つのリアル開催イベントをつなぐキャンペーンが実施されることにはとても好感を持っている。秋葉原と高田馬場は東京都であるから地方の遊技客は来場することが難しいが、サミットもフェスもサイト閲覧がスタンプ獲得条件なので問題ないし、ファン感は全国で実施だからこちらも問題がない。どの地域の遊技客でも容易に参加できるキャンペーンとして都合1ヶ月以上続くもの、さらには参加や応募が容易なものとしては、ありそうで過去なかった試みということが言えると思う。11月の新機種市場がさらにこのキャンペーンで盛り上がることに期待したいし、盛り上がったとして12月にPとe同時のエヴァ16が控えているわけだからなお良い話になるというものだ。そのようになるかは不明だが、メーカー団体とホール団体(もちろん回胴遊商も含む)がこういう取り組みを共同的に実施することはこれまたありそうでなかったことだ。なんなら昨年の参議院選挙へのオール業界としての挑戦がこういう状況を実現できたのではないかと思ったりするが、そうであればそれは参議院選挙へ業界として取り組んだ結果としての立派な財産であろう。

さて、これは今年になって、特に4月のスマスロ北斗の販促キャンペーンが目立ったときに強く感じたことなのだが「著名人がぱちんこやパチスロに対して積極的な発信をすることが増えた」「そういう発信に対してアンチ層のバッシングが目立たなくなった」ということがあるのではないだろうか。私自身、2020年からのコロナ禍突入時におけるぱちんこバッシングの記憶はもちろん、東日本大震災直後のバッシングの記憶も鮮明なので、今年のこのような状況には隔世の感すらある。もともと2011年の震災直後にあのようなバッシングがあったことが大きな潮目の変化だったので3年前のコロナ禍突入時のバッシングは「相変わらず酷いな」くらいなものだったのだが、それらが今年は目立たなくなっているように感じている。

共通しているのは業界としての連携が強化されているということと、社会に向けての発信が増えているということ、そして言うべきことを言うということとその言うべきことがある程度科学的根拠があったりファクトデータに基づいていたりしていること、が増えたからではないか、という点。これらが奏功しているのが今なのではないだろうか。

震災直後は故石原都知事(当時)の自販機とぱちんこ屋がなければ原発は要らないという発言。当時はホール4団体における輪番休業などの施策が社会的に高く評価されるということはあまりなく、警察官僚に高く評価されたに過ぎなかった。が、コロナ禍における休業要請に応じた割合、特にゴールデンウィーク期間中の休業率は震災の年の輪番休業に匹敵するほどものすごく高く、そのことはその当時、野党議員が国会の委員会質疑で好意的に指摘していたことから震災直後よりも社会の目はマシになったということが現象からは言える。

また3年前は東京都医師会による「ぱちんこからクラスタ発生」という偽情報が発信され、都遊協は即訂正を求め、東京都医師会は即日訂正のプレスリリースを発信した。医師会のような高学歴の者が集まる組織ほど、ちゃんとした抗議には抗えないのだ。また同じ時期にはTBSも抗議対象になっている。この年には全国の青年部会による実証実験動画が公開されぱちんこ店がクラスタになり得ない構造的な説明も周知された。昨年は大阪市長や維新も抗議の対象になった。今年に入ってからは、都留文科大学早野教授のアドバイスもあって、特に全日遊連を中心とした各ホール団体はエビデンスに基づいた発信を増やす努力を展開している。大遊協の新聞広告はその好例だし、全日遊連阿部理事長がギャンブル等依存症対策推進関係者会議の委員として政府の対策本部に4つの資料を提出し、それが首相官邸HPに掲載されているという点も見逃せない。今年に入っても前時代的なプレジデントオンラインの記事に対してホール4団体を中心に21世紀会として要請文を出している。

私自身が狭い世界に限定してではあるが発信者として四半世紀以上やってきた手前、さまざまな抗議をいろんな人から受けてきた。その中には抗議そのものがデタラメというのもあったが、ちゃんとした抗議には抗えないのだ。だから私ですら「テキトーな感覚で雑な記事を書いたら大変だ」という認識はある。ましてや一般に周知されたマスコミや組織は、デタラメな発信をして正しい抗議を受ければ、それが周知されるとただの恥となる。たとえば「有識者」や「専門メディア」などを標榜しているような者はたとえば「知らない、ちゃんと調べていない、頭が悪い」という評価は自身の価値を著しく棄損するわけだ。東京都医師会が即日訂正のプレスリリースを出すのは珍しいにしても、正しい抗議に表向き何も見せないところが多数あるのは、相手にしていることがバレたら恥だからであろう。それをわかったところは同じ恥のリスクを犯す確率が下がる。これは業界の結束が強いほど奏功するものだ。

そういう流れの中なのか、それとも社会的に遊技に対する潮目が変わったのか、あるいは両方か、今年はイメージが好転した印象だし、そこに日工組の大々的なキャンペーンがあり、各団体もイベントも連携のような形で展開されていく。10月の新機種は残念なものが多かったがまだ修正できると思いたい。

■プロフィール
POKKA吉田
本名/岡崎徹
大阪出身。
業界紙に5年在籍後、上京してスロバラ運営など。
2004年3月フリーへ。
各誌連載、講演、TV出演など。
お問い合わせ等は公式HP「POKKA吉田のピー・ドット・ジェイピー(www.y-pokka.jp)」か本誌編集部まで。

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