自分に合った「鐙」と「鐙革」の選び方

馬に乗るときに欠かせない馬具のひとつに「鐙」があります。鐙は「鐙革」と一緒に使用します。レッスンを始める前には、まず鐙の長さを鐙革の長さで調節します。
鐙には様々な素材や形状があるので、乗馬初心者の方はどの鐙を選べば良いのか迷われることでしょう。
そこで今回は鐙と鐙革について、その選び方や調整の仕方についてまとめてみました。

鐙とは

鐙とは、馬に乗る際に人が足をかけるものです。鐙に足を載せることで、馬上でバランスをとり、安定して騎乗することができます。
鐙はその昔、馬に乗る時や下馬する際に不便を感じたことから、足をかける道具として誕生しました。そのため鐙は、鞍の左側にのみ付いていました。
しかし戦場では、馬の激しい動きに耐えつつバランスを取ることは非常に難しいことだったため、姿勢を安定させるために左右両方に鐙をつけるようになったそうです。
鐙はステンレスやアルミなど、様々な材質や形状のものがあります。

鐙革とは

鐙革は、鞍に鐙をぶらさげる時に使う革紐のことです。馬に乗った時の鐙の高さを調整するため、鐙革の長さを変えて調節します。
鐙革には、一枚革、合わせ革、合成皮革などの素材があります。
一番おすすめの鐙革は一枚革です。合成皮革に比べ、日々のお手入れは必要ですが、本革なので非常に丈夫です。
鐙革は、騎乗中に切れてしまうと落馬の可能性があるため、日頃からこまめにチェックして手入れをおこなうことが必要です。

強度と安定性

鐙には騎乗時に、体重の4倍ほどの力がかかると言われます。そのため、鐙には強度が求められます。最もおすすめの素材はステンレスです。悪天候の中でも使用することを想定し、錆びて劣化しないものを選びましょう。また、気温が上昇した際や紫外線にも、ステンレスなら構造が変化することもありません。ステンレスといっても強度がまちまちなので、800kgの破断強度を持つものが良いでしょう。
鐙を選ぶ際には、価格にも注意しましょう。安価過ぎるものは強度が弱く、すぐに破損する可能性が高いので、大変危険です。

鐙を選ぶ際には、重さにも注目しましょう。軽すぎるものは、鐙を履き直す際にスイングしてしまい上手く履けないことがあります。
また、鐙を踏む面(ステップ)は、鐙がしっかりと踏めるようなグリップ力があるものを選びましょう。バランスがとりやすく、安定性があるものが初心者にはお勧めです。
ステップのパッドにはゴム製のものと金属製のものがあり、それぞれに利点があります。
ゴム製のものは鞍やブーツを傷つけにくく、金属製は強いグリップ力があります。

長さの目安

鐙の長さは乗馬をする際に非常に大切です。レッスンの前には、鐙を自分に合った長さに調節します。長さを調整することで、自身の体重を鐙でしっかりと支えることができます。鐙の長さは、鐙革の金具を操作することで調節します。鐙の長さが合っていないとアクシデントが発生する可能性が高くなってしまうので、是非自分に合った長さに調節してからレッスンを始めましょう。
鐙の長さが合っていない場合、例えば鐙が短いと重心が高くなってバランスが崩れやすくなり、落馬の可能性が高くなります。逆に長くなると体重を鐙でささえることができなくなり、鐙が脱げる原因にもなります。また、鐙の長さが合っていないと正確なバランスをマスターできず、せっかくのレッスン効果が薄れてしまうでしょう。

それでは、自分に合った鐙の長さはどのように調節すれば良いのでしょうか?

騎乗前に鐙の長さを調節する場合

騎乗前に鐙の長さを調整するには、自分の腕の長さに合わせます
まず鐙皮の付け根の部分を握り、鐙が自分の脇に当たるように鐙革の長さを調整します。調整したら、内側の鐙皮を下に引っ張り、バックルと金具がカチッとあたるまでしっかり戻します。
騎乗前に鐙の長さを調節しても、騎乗者の足の長さや馬の胴回りの太さによってはさらに調整が必要な場合もあります。

騎乗時に鐙の長さを調節する場合

騎乗時の鐙の長さの目安は、馬上で骨盤を立て、姿勢を正した状態で、足を脱力して真下におろしたときに鐙の踏む部分がくるぶしあたりとなる長さです。騎乗したまま調整する場合は、外側の鐙革を引っ張って何穴かずらします。

しかし、手足の長さや馬の胴の太さも関係するので、騎乗後にも長さを確認します。足を下に垂らし、鐙がくるぶしのあたりにきていればOKです。調整したい場合は、騎乗したまま外側の鐙皮を引っ張り出して何穴かずらし、調整後は必ずまた金具とバックルがカチッとあたるように内側の鐙皮を引きましょう。

鐙にかかる体重は左右均等でなければいけません。左右均等に体重がかかるとバランスがとりやすくなります。そのためには鐙の長さが左右同じになるように調節が必要です。
立ち上がって足が水平の位置にあればOKです。自分でわからない場合は、インストラクターに正面から左右のバランスを確認してもらうと良いでしょう。

上記の方法はあくまでも目安なので、乗り方の癖などによって変化するため注意が必要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

古代から馬に乗る際に使用されてきた鐙ですが、その形状は時代と共に変化してきました。昔も今も変わらないことは、騎乗中に鐙を踏むことで非常に安定して乗ることができるということです。
鐙は、その人に合った長さで騎乗することでバランスが良くなり、落馬の危険も少なくなります。

安全に騎乗し、レッスンの効果をアップさせるためにも、レッスン前には是非鐙の長さを調節して下さいね。

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