茨城・袋田バイパス、12月全通 着手33年、観光渋滞緩和へ 災害時は緊急輸送道路に

茨城県が大子町で整備を進めていた国道118号「袋田バイパス」は12月2日に全線開通する。事業着手から33年。現在の国道は日本三名瀑(めいばく)「袋田の滝」方面に通じているため、観光シーズンには大規模な交通渋滞が発生している。県は渋滞緩和や災害時の緊急輸送道路としての役割に期待を寄せる。

袋田バイパスは大子町の袋田から北田気までの3.6キロ。このうち両端の2.3キロ区間は既に開通しており、残る1.3キロ区間が今回供用開始されることで全線開通する。事業は1990年に着手した。

JR水郡線の袋田駅付近から久慈川の東側を通る国道118号に対し、バイパスは主に川の西側となる。

県道路建設課によると、バイパスの橋は計7カ所に上る。久慈川を渡る4カ所をはじめ、JR水郡線をまたぐ2カ所、町道をまたぐ1カ所。橋の建設が多く、工事は梅雨や台風時期の出水期を避けるなどしたため、全通までに時間を要したという。

国道118号は水戸市から福島県会津若松市に至る広域的な幹線道路。地域の産業振興や交流の基盤となり、災害時には緊急輸送道路として救援や避難、物資の供給など重要な役割を担う。

現在の国道118号には袋田の滝方面に通じる国道461号が接続しており、ゴールデンウイークや秋の観光シーズンなどには、交通渋滞が発生する。2019年には東日本台風(台風19号)の大雨による冠水で一部通行止めになった経緯もあることから、バイパスの完成は渋滞緩和や緊急輸送道路としての機能強化につながると県は期待を寄せる。

バイパスは片側1車線。今回開通する1.3キロ区間の事業費は約64億円、全体事業費は約140億円。

12月2日午後3時に開通する。同日午前にはテープカットや通り初めなどの開通式典が開かれる。

同課の担当者は「安全で円滑な交通の確保をするとともに、地域の産業や観光の振興に役立つ」と話している。

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