
隙を逃さない走塁に精度の高い送りバント-。神村が、洗練された攻撃野球を見せつけた。安打だけでなく、小技や走塁を駆使した点の取り方を披露。日南学園(宮崎)を10-0と6回コールドで破り、「センバツ」出場が濃厚となる4強に楽々と入った。
3点リードで迎えた6回。四球で出た岩下を送るため、上川床が犠打を決めた。三塁側に転がったボールを相手投手が一塁へ悪送球。二塁を蹴った岩下は迷わず本塁へ突入、ノーヒットで4点目を奪った。その後は入耒田、増田らが鋭い打球を放ち、この回だけで7点を挙げた。
鹿児島県大会、九州大会初戦までの得点は1試合平均10.16。高い得点力の鍵となっているのが勝負どころの犠打だ。この日は、4回に木下が2ストライクからスクイズを決めるなど、チームで5犠打を決めた。木下は「集中してバント練習をしてきた。決める自信があった」と胸を張った。
チームの一体感も強さを増幅させている。ベンチメンバーも捕手の防具を外したり、打席を待つ仲間に飲み物を持っていったりと、選手は「目配り、気配り」を徹底。川下主将は「試合に出ていない人が明るい雰囲気をつくっていた」と、全員でつかんだ勝利を喜んだ。
■「守備からリズム」を体現
守りに自信を持つ神村が序盤で二つの併殺を奪い、相手に主導権を与えなかった。「守備からリズムをつくる」を体現した選手たちに、小田大介監督は「粘り強く守ってくれた」とたたえた。
先発の今村は序盤、ボールが浮いており1回は1死から、2回は無死から安打を許す苦しいマウンドだった。エースを支えたのが二遊間コンビだった。初回は二塁手増田が軽快にゴロをさばき併殺。2回は遊撃手今岡が捕球し「6-4-3」の併殺を完成させた。
リズムをつかんだ今村は無四死球、無失点で6回まで投げ切った。秋の県大会では5試合で4失策、九州大会1回戦も無失策だった。捕手木下は「今村は立ち上がりが不安だったので、併殺を取ってくれて助かった」と感謝した。
