<レスリング>U23世界選手権(アルバニア)出場の男子グレコローマン・チームが帰国

アルバニア・ティラナで行われた2023年U23世界選手権に出場した男子グレコローマン・チームが10月31日、羽田空港に帰国した。昨年と同じ「銅3」を獲得し、メダル数が最高だった昨年の成績をキープした。

97kg級の仲里優力(佐賀県スポーツ協会)は、この大会の男子両スタイルを通じて90kgを超える階級としては初めてのメダル獲得。自身にとって初の国際大会のメダルだった。昨年は2勝して7位。上昇の兆候はあった。今大会の3位決定戦の相手はU23欧州選手権優勝のアゼルバイジャン選手で、一気に実力をアップさせた形だ。

▲グレコローマン重量級でメダル獲得の仲里優力=UWWサイトより

仲里は「重量級は期待されていない部分が多かったので、メダルを取れたことはうれしかったです」と、これまでの低評価に一矢報いることができてうれしそう。高校と大学で教わって来た「前に出るレスリング」が発揮でき、この結果に結びついたと分析した。

昨年大会の2勝で、海外の試合でも「スタンド戦ならだれにも負けない。シニアのレベルではどうか分からないが、U23のレベルではしっかり闘える」という感触があったそうだ。「去年の7位が自信になっていました」と振り返り、昨年の経験をこの1年間の練習に生かしての結果だった。

この階級は、全日本選手権でのチャンピオンが来春のパリ・オリンピック・アジア予選と世界予選に挑むことになる。今年4月のアジア選手権では奈良勇太(警視庁)が3位、10月のアジア大会では鶴田峻大(自衛隊)が3位と、先輩2人が好成績を残しており、仲里も負けてたまるかとばかりに結果を出した。

全日本選手権は、これまでよりワンランク上の闘いが展開されそう。それは、パリの灯が見えてくることにつながる。仲里は「自分が優勝して、アジア予選に出ます」と力強く話した。

「内容もすばらしい3個の銅メダル」…馬渕賢司コーチ

馬渕賢司コーチ(中京学院大監督)は「相手の体力を削り取り、その中で技を仕掛けるアグレッシブで見応えのある試合内容が多かった」と総括。U23やU20の欧州選手権等での実績を持つ選手が多く、その中での銅3個は「内容もすばらしかった」と評価した。

63kg級の丸山千恵蔵(日体大)は「負傷していてコンディションが悪い状況下でもしのぎ切っての勝利」、67kg級の矢部晴翔(日体大)は「物おじせず組み合い、堂々とした展開」、仲里は「スタンド、グランドともにポイントを取り、冷静で、やるべきことを明確に実行しての勝利」と、それぞれ評価した。

メダルを取れなかった選手も「技を仕掛けた上でカウンターを受けたり、あと一つ守り切ればよかった、という紙一重の勝負もあった」と、実力は大きく劣ってはいないことを強調。「パリを目指す選手も、ロサンゼルスを目指す選手も、12月の天皇杯が次のスタートだと思うので、ぜひとも奮闘していただきたい」と期待した。

藤村義コーチ(自衛隊)は「メダル3個で最低限の成績は残せた。3選手は決勝に行く可能性もある実力を見せてくれた。優勝できる力を持っていたので、銅メダルを取れたと思う」と振り返り、全体の力は「間違いなく上向いている」と話した。

▲メダル獲得選手。左から丸山千恵蔵、仲里優力、矢部晴翔


■63kg級・丸山千恵蔵(日体大)「優勝を目指し、優勝する準備をして行ったので、3位は悔しい。その中で、準々決勝でジョージア選手に残り5秒で逆転フォール勝ちし、準決勝と3位決定戦は難しい状況の中で自分の技術を試すことができ、いいこともあった。準決勝は3-3のスコアで、残り1分30秒でいい体勢になったこともあったけど、取り切れなかった。強みと改善点が分かり、内容のあった充実した大会になりました。

(去年がU20の3位で、世代がワンランクアップしての銅メダルだが)シニアのアジア選手権に出ているし、国内では全日本選手権で優勝している。世代別の大会では優勝したかったので、やはり悔しい」


■67kg級3位・矢部晴翔(日体大)「金メダルを目標にしていたので、銅メダルは悔しい。準決勝(3-3)は相手に合わせすぎてしまい、自分の形をつくれなかったのが敗因。詰めの甘さが出てしまった。(2度目の国際大会だが)経験不足とかは感じなかった。優勝できると思って闘っていた。

(出発前は全日本大学グレコローマン選手権の72kg級で優勝)階級が違ったので体重コントロールは難しかったけれど、ひとつ上の階級で優勝できた、という自信をもって臨めた。この階級はまだオリンピックの出場枠を取れていない。全日本選手権で優勝して、アジア予選で勝てるようにしっかり頑張りたい」

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