東京消防庁 不要不急の119番通報は「切る」呼びかけ

「スマホ落とした」「通帳をなくした」「放置自転車が邪魔だ」など…こちらはすべて119番の通報なんです。このような本来の趣旨と異なる電話が、東京消防庁には1日約600件かかってきていて、これらに対し東京消防庁は、このたび異例の呼びかけを行いました。

記者:「119を受け付ける指令室に来ています。ランプの点滅している所が対応中ということで、緑のランプは救急の通報を受け付けているということです。先ほどからひっきりなしに点滅しています」

千代田区の東京消防庁の中にある総合指令室。23区の119番通報を全て24時間体制で受け付けています。1日にかかってくる通報の数は約3000件。こうした中、近年、問題となっているのが…

「あの、トイレの水が止まらないんですがどうしたらいいんでしょう」トイレのトラブルに関する相談、これは指令室に実際にかかってきた通報です。さらにこんなものも…

「隣で工事現場がありまして、すごい音がうるさくて」「鍵が壊れてしまって。どうにも出来なくなってしまって、どうしたらいいかと思って」

このように119番にかけるような内容ではない、日常の困り事への相談が相次ぎ通報されているのです。こうした状況を受け、東京消防庁は9月、異例の呼びかけを行いました。それが…

【東京消防庁X(旧ツイッター)】「不要不急の電話については、最後までお話を聞かずに切断する場合があります」

東京消防庁は初めて、こうした通報に対し、電話を切ると発表したのです。なぜ今回、発表に踏み切ったのか。担当者に話を聞きました。

東京消防庁 藤野さん:「119番通報の約2割については、不要不急な通報になっている」

担当者によりますと1日3000件の通報のうち、その2割にあたる約600件がこのような身に危険を及ぼさない通報だといいます。担当者は、こうした通報が多くなると本当に必要な電話がとれなくなると警戒感を示しています。

東京消防庁 藤野さん:「ある程度不要不急な通報については業者に電話してくださいと説明した後、相手が納得しない場合でもこちらから電話を切断しますというところを訴えています」

東京消防庁の異例の発表について、街の人たちはどのように受け止めているのでしょうか?

「賛成です。これはちょっとおかしいなと思ったら早く切って、本当に大変な連絡を待った方がいいと思います」「判断を間違えたら取返しがつかなかったりすることもあると思うので、その意味でどのくらいになったら呼んでもいいか悩みますよね」

東京消防庁では、119番通報にかけるかどうか迷ったときは「#(シャープ)7119」にかけるよう説明しています。

ここからは取材した牧田記者とお伝えします。不要不急電話、どのような人がかけて来るのでしょうか?

牧田記者:「高齢者が多く、夜になると電話が増加するそうです。夜にトラブルが起きた時、頼る所が分からず119番通報をするのではないかと担当者は話していました。社会の高齢化や孤立化がここにも現れているのではないかと思いました」

この発表で変化などはあるのでしょうか?

牧田記者:「東京消防庁の担当者によりますと、電話対応する司令員の方のストレスが減った、本来の目的とは異なる電話はある程度説明したら切ってもいいということで後ろ盾ができたと話していました」

とはいっても、躊躇なく通報しなくてはいけないですよね。

牧田記者:「東京消防庁は、119番通報をするか悩んだ場合「#7119」に電話してください、と呼び掛けています」

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