認知症予防に「にんにく油」1日1さじで脳の血流がアップ!

免疫力が低下しがちなこれからの季節にぴったりだ

全国的に寒さが一気に訪れ、秋が色濃くなり始めた。寒くなると、血圧のコントロールが難しくなり、脳梗塞や心筋梗塞といった血管の疾患が起こりやすくなる。

こうした疾患の予防につながる優秀な食材があると、都立駒込病院、前脳神経外科部長の篠浦伸禎先生は言う。

「脳疾患は、血管が急激に収縮し、脳の血管が破れたり詰まったりして起こりやすくなるのですが、それを防ぐために私が患者さんにおすすめしているのは、にんにく油なんです」

“にんにく油”とは、その名のとおり、にんにくをオリーブオイルに漬け込んだもので、脳をはじめとしたさまざまな疾患や症状に効果を表してくれるのだという。

免疫力が低下しがちなこれからの季節にぴったりなものだ。

「にんにくは5000年以上の歴史のあるスーパーフードで、昔から疲労回復、滋養強壮、抗酸化作用、抗菌作用など、薬レベルの高い効果を発揮しています。

オリーブオイルも抗酸化作用が強く、血管を強くする働きがあり、この二つを組み合わせることで、相乗効果でさまざまな健康へのメリットがあるので、手術を行う患者さんにもにんにく油をおすすめしているんですよ」(篠浦先生、以下同)

にんにくにはアリシンという特有のニオイのもとにもなる化合物が含まれており、血管の健康を向上させるなど、さまざまな働きをしてくれる。

ところが、アリシンは変化しやすい成分のため、調理するたびに新たにすりおろす必要がある。

「このアリシン、実はすりおろして油に漬けることでアホエンという安定した成分に変わります。アホエンには、血小板凝集抑制作用、抗菌作用、抗腫瘍作用のほか、あらゆる生活習慣病にも効果があります。

さらに、認知症や物忘れの改善、脳卒中予防、高血圧改善、コレステロール値改善、がん予防、免疫システムの強化、自律神経の調整、関節炎改善など、さまざまな健康効果があるのです」

特に、脳に対する働きが顕著で、脳外科医の篠浦先生が患者さんにもおすすめするほど。にんにく油が脳の血流を促進して脳神経の活動が活発になり、記憶力アップにもつながる。

「アホエンにはアルツハイマー型認知症の原因となるアセチルコリンエステラーゼやアミロイドβという物質の働きを阻害することがわかっています」

ほかにもアホエンには、発がんの原因となる細胞の突然変異を抑える、がん抑制効果や、カビや細菌に対する殺菌作用が高いため、ウイルス抑制作用や、抗体を作る免疫力アップの働きもあることがわかっている。

実際に篠浦先生も、15年前に患者さんからにんにく油を教えてもらって以来、取り続けているのだそう。

「もらったにんにく油をスプーン1杯分飲んでみたところ、すぐに体がぽかぽかと熱くなって、これはいいと感じました。それ以来、自分で作って飲んだりして、私自身、その効果を実感しています」

にんにく油は誰でも簡単に作れるところもポイントです。

にんにく3かけをすりおろして室温に2時間ほど置き、オリーブオイルに漬け込んで1週間程度置く。その後、茶こしでにんにくを濾して、密閉容器に入れるだけ。

すりおろして2時間放置することで、アホエンがより多く産生される。さらに室温のオイルに5〜7日間にんにくを漬け込んだ後が、もっとも多くアホエンが抽出できるそうだ。濾して不純物を取り除き、冷暗所で保存すれば1カ月程度は持つという。

ちなみに、にんにくのニオイの成分が必要不可欠なため、無臭にんにくでは効果がみられない。

にんにく油を取る目安量は、1日大さじ1杯程度。直接飲んでもよいが、にんにくのニオイが強く感じられる場合は、みそ汁やスープに入れたり、サラダ、麺類にかけるなど、料理のアレンジに使うことで、味の変化を楽しみながらにんにく油の恩恵が受けられる。

「にんにく油のよいところは、おいしく健康効果もあるうえ、コストパフォーマンスに優れている点です。誰でも手軽に入手できて、簡単に作れる最高の健康食材です」

こんなに優れもののにんにく油だが、やはり大切なのは、継続して取り続けることだそう。

「どんなによいものでも、効果を感じるには、継続が必要。1週間は続けてみてください」

手軽に手作りできるにんにく油で、健康な体と脳を保とう。

【にんにく油の作り方】

(1)エキストラバージンオリーブオイル150mlとにんにく3かけを用意する。
(2)にんにくをすりおろし、室温に2時間ほど置く。
(3)オリーブオイルを容器に入れ(2)を入れる。室温で5〜7日間置く。
(4)茶こしでにんにくを濾せばできあがり。

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