身上は押し相撲、滋賀で飛躍期す 長浜の教員、兄は十両朝紅龍関

相撲の代表的な基本動作である「すり足」をけいこする(滋賀県長浜市宮前町)

 今春から長浜養護学校教員となった石崎涼馬さん(23)=滋賀県長浜市=は、日本体育大学4年だった昨年の全日本相撲選手権で3位入賞した実力の持ち主だ。先日行われた鹿児島国体にも滋賀県代表として出場した。湖国の相撲界でさらに活躍が期待されている。

 日体大の先輩である県内相撲関係者らの勧めもあって大学卒業後、滋賀で働くことになった。現在は長浜相撲クラブで週3回、若手や子どもたちを指導する傍ら、休日は日体大や近隣の大学相撲部へけいこに出向く。

 大阪府四條畷市出身。小学3年で相撲を始め、「自分より大きな相手を打ち負かす面白さ」に目覚めた。強豪の明徳義塾高校(高知県)を経て日体大に進んだ。

 身上とするのは押し相撲だ。「引いたりせず、正面からぶつかる。『立ち合い勝負』を心がけている」。身長173センチ、体重120キロと必ずしも体格に恵まれているわけでないためで、「まわしを取って組まれてしまうと相手のペースになってしまう。そこは意識している」と話す。

 8月に佐賀県であった全国教職員相撲選手権では約60人が出場した個人戦で初出場ながら優勝した。「優勝できたのは自信になった」と振り返る。

 10月13~15日に行われた鹿児島国体では滋賀から成年の団体と個人に出場した。団体は予選敗退。個人では予選を突破したが、決勝トーナメント初戦の2回戦で敗れ、32強にとどまった。「もっと上に行けた」と悔しさをにじませる。

 鹿児島国体で痛感したのは学生時代との競技環境の違いだ。社会人になった現在は学生時代と比べてけいこ量が限られ、出場する大会も減った。「もっと工夫して練習する必要がある。大会もひとつずつ大切に戦っていかないといけない」と気を引き締める。

 小学生の時に共に相撲を始め、同じ高校、大学に進んで背中を追った2歳違いの兄、十両の朝紅龍関(高砂部屋)とは毎日のように電話で連絡を取り合う。競技面で互いにアドバイスしたり、励まし合ったりすることも多い。「友達みたいな感じで仲が良い」と笑う。

 2025年に滋賀県で開催される国民スポーツ大会(国スポ)では長浜市が相撲の会場になる。国スポの主力選手として県内競技関係者の期待も大きいが、自身は「目の前のことに集中して取り組むだけ」と謙虚さを崩さない。

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