塚本晋也監督が初受賞の快挙!ウィーン国際映画祭で最新作『ほかげ』が“オーストリア公開推薦”作品に「祈りの気持ちが伝わった」

『ほかげ』©2023 SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER

第80回ヴェネチア国際映画祭にてオリゾンティ・コンペティション部門に正式出品され、日本人初となるNETPAC 賞(最優秀アジア映画賞)を受賞するなど海外の映画祭で高い評価を受けている塚本晋也監督の最新作『ほかげ』が、第61回ウィーン国際映画祭にて<Standard Readers’ Jury Award>を受賞。審査員からの絶賛コメントと塚本監督から喜びのコメントが到着した。

日本人監督・日本映画として初受賞の快挙

ウィーン国際映画祭(Vienna International Film Festival)は、オーストリア最大の都市ウィーンで開催される国際映画の祭典。ドイツ語圏では最も歴史があり、コロナ前には9.2万人を動員、世界中から選び抜かれた約300作品を取り上げてきた。今回も多くの作品が上映され、日本からは宮崎駿監督『君たちはどう生きるか』、是枝裕和監督『怪物』、濱口竜介監督『悪は存在しない』、井上雄彦監督『The First Slam Dunk』、杉田協士監督『彼方のうた』などが出品されている。

このたび 『ほかげ 』が受賞した<Standard Readers’ Jury Award>は、オーストリアの日刊紙である「DER STANDARD」の読者審査員が選出する賞。現時点でオーストリア配給が決まっておらず、オーストリア公開をお勧めする作品に贈られる。日本人監督、日本映画が受賞するのは今回が初となる。

「未来の子供たちが、健康で楽しく過ごせるよう祈りを込めて」

現地時間10月31日に行われた授賞式では、塚本晋也監督からの喜びのコメント映像が上映され、大きな拍手と歓声が贈られた。審査員たちからは「塚本晋也監督の『ほかげ』は、戦争の結果が終戦後も影響を及ぼし続ける様子を描き、感銘を与え続ける作品。視覚的な言語と生々しい語り口のスタイルは、過酷な雰囲気と主人公たちの閉塞感を見事に伝えています。『ほかげ』は、戦争が未だに終わっていないことを私たちに思い出させます」と絶賛。

また、塚本監督は、「世界がきな臭くなっていく中、未来の子供たちが、健康で楽しく過ごせるよう祈りを込めて作った作品です。外国の皆さんにどれくらい理解いただけるか少し心配していましたが、俳優の演技、美術がかもす雰囲気、物語の力で祈りの気持ちが伝わったことを嬉しく思います」と喜びのコメントを寄せた。

【塚本晋也監督 コメント全文】

世界がきな臭くなっていく中、未来の子供たちが、健康で楽しく過ごせるよう祈りを込めて作った作品です。映画は、第二次世界大戦終戦後間もない頃の物語で、闇市と言う違法の店舗の一角を主な舞台にしています。映画の中ではそういう具体的な説明はしていませんので、外国の皆さんにどれくらい理解いただけるか少し心配していましたが、俳優の演技、美術がかもす雰囲気、物語の力で祈りの気持ちが伝わったことを嬉しく思います。

『ほかげ』は2023年11月25(土)よりユーロスペースほか全国順次公開

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