愛犬にベタベタしすぎるのはダメ? 考えられる悪影響に「適度な距離も必要だよね」「どのくらいの距離感がいいの?」

愛犬にベタベタしすぎることで考えられる悪影響とは

愛犬への愛情は誰にも邪魔することはできませんし、飼い主さんからのたっぷりの愛情を注がれることは犬にとってこの上ない喜びであることは間違いありません。

しかしその愛情も、度を過ぎて一方通行になってしまうと様々な悪影響を及ぼしてしまうことも理解しておかなくてはなりません。

そこで今回は、愛犬にベタベタしすぎることで考えられる悪影響について解説します。ぜひ時には立ち止まって愛犬への振る舞いを確認してみましょう。

犬のストレスになる

可愛い愛犬をなでたりハグしたりする時間は、飼い主さんにとってとても幸せな時間だと思います。それは犬にとっても同じで、信頼している飼い主さんとのスキンシップは、幸福感を感じるだけでなくストレスを解消する効果もあると言われています。

しかし、ベタベタして過度にかまいすぎてしまうと、反対に犬のストレスの原因になってしまうのです。静かに休みたいと思っているときに、その気持ちをくみ取らずにベタベタしてしまうと、犬は精神的に疲れたりストレスを感じたりしてしまうので注意しましょう。

分離不安になる可能性がある

飼い主さんが家にいる間中ずっと愛犬に触れていたり、長い時間一緒にいたりすると、かまってもらえなくなったときに強い不安を感じて分離不安症を発症することがあります。

分離不安はひとりにされたときに不安や恐怖を感じて、パニックを起こして暴れたり吠え続けたり、自傷行為をしたりする精神疾患です。これを発症すると、犬はひとりで留守番できなくなるのはもちろん、同じ家の中にいても姿が見えなくなるだけでパニックを起こすようになることもあります。

このような状態になると、飼い主さんは外に出ることがむずかしくなったり、留守番中に近所に迷惑をかけてしまったり、犬の体が傷ついてしまったりする可能性があります。

分離不安にならず精神的に自立できるように、日頃から適度な距離感を持って愛犬と接するようにしましょう。

犬がわがままになる

愛犬にベタベタしすぎる飼い主さんは、全体的に愛犬を甘やかしてしまう傾向があります。愛犬が望む通りにしてあげたいと、要求に応じてばかりいると、犬はわがままになってしまいます。

いつもかまってくれているのにかまってもらえない、いつもは言うとおりにしてくれるのにきいてもらえない、となったときに吠えたり噛んだりといった攻撃的な態度を示すこともあるのです。

また、飼い主さんはかまってあげているつもりでも、犬は自分の思い通りに飼い主さんが動いていると勘違いしてしまうこともあるでしょう。その場合、飼い主さんの指示などに一切従わなくなることもあるので、注意しなければなりません。

健康トラブルが起こる

犬にベタベタしすぎて、長い時間かまい続けていると、犬のストレスになるだけでなく身体的なトラブルを引き起こすこともあります。

過度にかまいすぎることで、犬の睡眠や休息を邪魔してしまって、疲労が蓄積したり睡眠不足にしてしまったりする可能性があるのです。また、甘やかして好きなだけ食べものを与えたり、散歩で抱っこしたりといったことを続けていると、肥満や体力不足に陥ることもあるでしょう。

愛犬との適度な距離感とは?

愛犬とのスキンシップやコミュニケーションは、とても大切なことです。しかし、犬が「かまって欲しい」と要求してくるたびにそれに応じたり、飼い主さんが在宅している間中ずっと触れ合ったりするのは過剰なスキンシップだといえるでしょう。

基本的に愛犬をかまうのは、飼い主さんが主導になって時間やタイミングを決めるようにしましょう。また、飼い主さんが家事や育児、仕事などをしなければならないときは、そちらを優先するようにして、暇な時間に愛犬をかまうようにしたり、遊ぶ時間を決めたりすることをおすすめします。

もちろん、愛犬がかまって欲しそうにしているときに相手をしてあげるときがあってもいいと思います。臨機応変に対応することも必要ですが、愛犬の要求に応じる形でのスキンシップばかりにならないように気をつけてください。

愛犬の表情や仕草から「かまって欲しい」「甘えたい」という気持ちを理解することは必要ですが、実際に触れ合うのは少し時間を置いて飼い主さんがタイミングを決めるようにしましょう。

まとめ

スキンシップは、犬にとっても飼い主さんにとっても大切なものだと思います。しかし、あまりにもベタベタしすぎると、愛犬の心身に負担をかけてしまうこともありますし、結果的に飼い主さんが困ることになる場合もあるでしょう。

愛犬とはお互いの時間も大切しながら、適度な距離感で接することが、健全な生活を続けるためのポイントです。愛犬の気持ちもくみ取りつつ、心地よいコミュニケーションを心がけてくださいね。

(獣医師監修:寺脇寛子)

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