不都合な情報に目つぶる 日大の第3者委が報告

 日本大学はアメリカンフットボール部員による学生寮での違法薬物事件に対する法人としての対応について第3者委員会による調査報告書を31日公表した。

 委員会は「事実を矮小化し、時には、ないもとする。不都合な情報には目をつぶり、得られた情報を自分に都合よく解釈し、自己を正当化するという姿勢が全てで顕著である」と強く問題視した。

 また委員会は法人のコンプライアンス意識の欠如とともに危機管理の在り方の認識がまったくないと厳しく指摘した。

 そのうえで「コンプライアンスの徹底で権限・責任の所在の明確化、危機管理についての知見の獲得(危機管理や危機管理広報についての知見を浸透させ、透明で世の中から信頼される組織運営をする必要がある)の必要」などの提言を行った。

 大学は「調査報告書で指摘を受けた全ての事項を真摯に受け止め、再発防止策と管理運営体制の再構築を含む改善計画を迅速に策定する」としている。また「こうした事態を招いた関係者の責任の所在を明確にし、処分を行う」と発表。

 そのうえで「これらの措置につきましては速やかに公表し、社会から信頼され、社会に広く貢献できる教育機関として再起できるよう誠心誠意努力してまいります」とのコメントしている。

 委員会は報告書について「違法行為に限らず、法人のコンプライアンス上、ガバナンス上の問題点を検証し、改善策を提言することを目的にしたもの」と説明している。

 薬物事件では副学長がアメフト部学生寮での荷物検査で鍵付き収納庫から大麻の可能性の極めて高い植物片が保管された缶を見つけたにもかかわらず、警察へ報告するまで12日間、大学本部で保管を続けた。学長は保管を続けていることを知りながら保管の事実を警察に報告するよう指示せず、理事長や役員規定に基づく理事会、監事への報告もしなかった。

 理事長も副学長から別件報告のついでに大麻らしき物が発見され、大学で預かっていると報告を受けて認識しながら、副学長にしっかり調査するよう伝えただけで、ほかの指示はせず、常務理事や理事会、監事に報告することもなかった、としている。(編集担当:森高龍二)

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