“築10年”を越えたら要注意!「持ち家の異変」に気づいて家を長持ちさせる方法

一生で一番大きな買い物の家。家は頑丈そうに見えても、長年のうちに豪雨や強烈な紫外線、台風、地震などの脅威にさらされ、厳しい環境の中で耐えています。

家も人間と同様に、新築から一定期間が過ぎたら、メンテナンスが必要に。きちんとリフォームすることで、災害にも耐えられるようになりますし、資産価値も上がり、家を売ったり、遺産として残すこともできるようになります。

今回は、“家のアンチエイジング技師”こと山下 隆盛さんの著書『あなたの持ち家が危ない』から、家を長持ちさせるポイントについてお伝えします。

外壁と屋根の補修がアンチエイジングの鍵

大切な持ち家を守るためには、まず家の異変に気づくことから。以下のようなことはありませんか?

〈持ち家のチェックポイント〉
□家の中がしめった匂いがする
□家の中が時々カビ臭い
□壁紙や天井に雨漏りのようなシミやカビがある
□実際に雨漏りがある
□屋内が外装に剥がれやひび割れなどがある
□シーリング(外壁の継ぎ目)が切れている(われている)

どれか1つでも当てはまっていたらメンテナンスが必要かもしれません。

このチェックからも分かるように、家のアンチエイジングのポイントとなるのは、ずばり雨水への対策です。国土交通省の発表によれば、日本の年平均の降水量は、なんと世界平均の約2倍にも達するそう。

「日本では梅雨や秋雨といった長雨が降ります。木が多く使われている日本の住宅にとって最大・最悪の敵は水。水が柱に染み込んで湿気が残ったりすると、柱が腐敗して弱り、家の耐久性ががくっと落ちてしまいます。その結果、台風や地震などで大きな被害を受けやすくなるのです」

過去の強大な台風災害が起こった際には、屋根が吹き飛ばされる住宅も少なくありませんが、こうした大きな被害があった家の屋根のほとんどは2001年に業界団体連合会が発行した瓦屋根標準設計・施工ガイドラインに準拠していなかったとされています。

また屋根と同じくらい外壁も雨水を防ぐとても重要な部位です。塗装のはがれも家の劣化につながります。

「外壁塗装は、見た目をきれいにするのはもちろんですが、塗装の塗膜(塗料が乾いて固まって膜状になったもの)には雨や紫外線から建物を守る役割があります。もしご自宅の外壁を触ってみて、手に白い粉がつくようなら要注意。ひび割れがなくても、劣化は(レベル4中)レベル3の状態まで進んでいます」

通常10年ほどでこうした兆候が現れますが、この段階になれば年数に関係なく、塗り換えなどのメンテナンスを考えてもよいでしょう。

ちなみに、今の新築木造住宅の9割で、サイディングという建築部材が使われていますが、最新の外壁材は、30年間塗り換えの必要のない窯業系サイディング材というものがあります。
これまでは10年前後で塗り替えが必要でしたが、35歳で家を建てたとすると、塗り替えは65歳前後の1回で済むことになります。

家のアンチエイジングのために今すぐできること

実際の張り替えや塗り替えは業者に頼むしかありませんが、日ごろから家のアンチエイジングのためにできることがあります。それは以下の3つ。

・換気を心がける
・壁の周りにはものをおかない
・家のチェックを怠らない

「なるべく頻繁に換気を行い、空気の流れを意識して窓を開けましょう。またよく外壁の側に物置などを置いている方がいますが、できれば外壁周りには何もおかないほうがいいでしょう。ものを置いたところに風や太陽が当たらず湿気が溜まりやすくなってしまうからです」

きちんとしっかりリフォームするにはそれなりのお金も労力もかかりますが、それほど手間ひまをかけられないという場合には、インスペクション(住宅診断・住宅の劣化や不具合の状況の調査)を中心としたリフォームを行うのも有効です。

5年ごとにインスペクションを実施して、問題があればその箇所をリフォームします。そうすることで適したタイミングで、長く住み続ける家を保つことができます。

リフォーム会社を選ぶ際には、「訪問営業のリフォーム会社は断ったほうが無難」と山下さん。リフォーム関連の悪徳業者にまつわる苦情は現在でも1万件にもなり、突然訪れて危機感のような言葉を投げつける業者にはお気をつけを。

建築業許可を得ている会社や社会保険に加入している会社が良い業者の一つの目安になります。信頼のおけるリフォーム会社を選んで、持ち家や実家のメンテナンスを行っていきたいですね。

【著者】山下隆盛(やました・たかもり)

ヤマテック株式会社代表取締役社長。一般社団法人木造住宅塗装リフォーム協会(国交省認定団体)理事。
NPO法人外装エコロジーシステム理事長。建築士。ファイナンシャルプランナー。

1969年生まれ。神奈川県出身。大学卒業後、半導体業界へ就職。1998年に父親が起こしたばかりのヤマテックに入社。
外装工事部門を立ち上げ、現在、神奈川県の県央エリアでは、外壁サイディング・屋根の施工数NO.1企業へと成長させる。

家が、人生最大の買い物であり、最高の資産であると考え、FPの資格を取得。ライフプランに沿ったリフォーム提案には定評がある。

また「家を長持ちさせることが、お金を含むお客さま、老後の幸せのためにも社会的にも意義がある」と考え、長年、家のアンチエイジングのためのメンテナンスリフォームを提唱し続けている。

さらに、外壁サイディング廃材の有効的な利用法を考えるNPO外装エコロジーシステム理事長を務めるなど、SDGsにも積極的に取り組む。

(ハピママ*/ 庄司 真紀)

© ぴあ朝日ネクストスコープ株式会社