創作の歩み物語る夫妻の優品 「奥田元宋・小由女展」会期終盤

独特の赤で彩った元宋さんの日本画などが並ぶ会場

 岡山シティミュージアム(岡山市北区駅元町)で開催中の特別展「奥田元宋・小由女美術館展」は会期終盤を迎えた。1日も美術ファンらが足を運び、ともに文化勲章を受章した日本画家奥田元宋さん(2003年没)と、妻で人形作家の小由女さん(86)の創作の歩みを物語る優品を堪能していた。

 奥田元宋・小由女美術館(三次市)の所蔵品から61点を厳選した。晩年、自身の色として赤を積極的に用いた元宋さんの「輪廻(りんね)の谿(たに)」は、燃えるような紅葉と、大山を覆う雪の対比で自然の美を鮮烈に表現。繊細で色彩豊かな創作人形で知られる小由女さんの「蓮華(れんげ)」は、細かな花の模様を散らした衣装をまとう女性像が、優美な空間を広げている。

 入場者は夫妻の作品に近寄って繊細な筆遣いに目を凝らしたり、椅子に座って全体の色彩を眺めるなど、じっくりと鑑賞。夫と訪れた女性(79)=善通寺市=は「迫力ある紅葉の絵を見て、秋の美しさをあらためて実感した。人形の優しい表情にもうっとりと見入ってしまいました」と話していた。

 山陽新聞社など主催。12日まで。月曜休館。3日午前11時と午後3時から、奥田元宋・小由女美術館の学芸員がギャラリートークする。

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