不法占用7年、撤去開始 内灘海岸の旧浜茶屋、県が代執行

石川県の行政代執行で土砂の除去作業が始まった旧浜茶屋周辺=内灘町の内灘海岸

 内灘町の内灘海岸で7年にわたり不法占用の状態となっていた旧浜茶屋施設の撤去作業が1日、始まった。石川県が設置者に撤去を再三求めていたが応じず、行政代執行に踏み切った。工事は来年2月末までを予定し、土砂を取り除き、3棟の建物を解体する。これを受け、町は海岸周辺のにぎわい創出を図る構想策定を本格化させる。

 県土木部の納橋豊暢次長兼港湾課長が行政代執行を開始する宣言文を読み上げ、業者が砂の除去を開始した。費用は約4千万円が見込まれ、確定後に県が設置者の「内灘海岸海の家管理組合」に請求する。

 浜茶屋では、夜間の騒音やけんかなどのトラブルが相次ぎ、県は2016年10月に占用許可の延長申請を拒否。以降の営業はしていないが、不法占用の状態が続き、内灘町民や観光客らからも景観を損ねているなどの声が絶えなかった。不審火も発生していた。

 県は16年から組合に対して旧浜茶屋を撤去するよう文書指導を14回、面談などを11回行い、今年3月に除去命令書、10月16日に代執行令書を出していた。

 計2368平方メートルの土地が砂浜に戻るめどが立ったことを受け、撤去作業を見守った上出孝之副町長は「安心して楽しめる海岸に戻るよう期待する。周辺の今後一層のにぎわいづくりに努めたい」と述べた。

 これに対し、管理組合の吉田幸二組合長は北國新聞社の電話取材に「業者が砂をどかしているだけのくだらないこと。何も気にしておらず、コメントすることはない」と話した。

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