妻から妻へ手渡しか 志賀町贈収賄の50万円

  ●社長容疑認める供述/町長「今は話せない」

 志賀町発注の配水管工事の入札を巡る贈収賄事件で、賄賂の現金50万円が、青谷工業取締役の青谷勝美容疑者(76)から、町長の妻で会社役員の小泉美穂容疑者(56)に手渡されたとみられることが1日、捜査関係者への取材で分かった。賄賂の授受に妻の関与が浮上したことで、首長、業者双方の夫妻がそろって逮捕される異例の展開になったとみられる。青谷工業社長で勝美容疑者の夫の武容疑者(83)は容疑を認める供述をし、町長の小泉勝容疑者(57)が逮捕時に「今は話せない」と話していたことも判明した。

 捜査関係者によると、青谷武容疑者は調べに対し、「現金を贈ったことに間違いない」などと供述している。6月下旬、配水管更新工事の入札で便宜を図ってもらう目的で、妻の勝美容疑者を介して小泉美穂容疑者に賄賂を渡したとみられる。

 金沢地検は1日、4容疑者について10日までの勾留を裁判所に請求し、認められた。

 青谷武容疑者は2007年に小泉容疑者が再選を目指して県議選に出馬した際、町区長会長として後援会長を務めた。勝美容疑者も過去の町長選で選挙事務所に出入りしていたほか、町商工会女性部に所属し、副部長の美穂容疑者と同じ会合に出席していた。

 青谷工業は新型コロナの感染拡大に伴う受注減で赤字幅が拡大し、22年4月期は約4700万円の債務超過だった。公共工事を確実に受注するため、選挙を通して懇意になった小泉容疑者に便宜を依頼した可能性がある。

 逮捕容疑は、小泉容疑者らは共謀し、町が7月6日に実施した配水管更新工事の入札で青谷工業から便宜を図るよう依頼され、現金50万円を受け取り、7月上旬に最低制限価格827万6千円(税別)を漏らして同社に落札させた疑い。青谷容疑者らは共謀し、現金を渡し、教えられた価格と同額で落札した疑いが持たれている。

 石川県警は別の町発注工事でも特定の業者に便宜が図られていなかったかなどを調べる。

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