春の高校バレー県予選前特集 男子(4) 全国で勝てるチームづくりでベースアップした大分南 【大分県】

全日本バレーボール高校選手権大会(春の高校バレー)の県予選が間もなく始まる。男子は17チームが参加、ここではシード4校を紹介し、大会の戦い方を展望する。第4回は全国高校総体に出場した大分南、優勝候補の筆頭として今大会に臨む。

県高校総体で連覇を達成し、その勢いのまま春の高校バレー県予選優勝を目指す大分南。全国高校総体で得た自信と課題に取り組み、着実な成長を遂げている。

今年のチームは1年から3年まで中学時に県選抜チームを経験した選手が揃う。実力は県内トップクラスだが、慢心することはない。柿原茂徳監督は「全国では通用しない。それが何かひとつではなく、全てをレベルアップする必要がある」と厳しい言葉を紡ぐ。足りないものを明確にするために県外の強豪校との練習試合などを通じて、自分たちの弱さ、もろさと向き合ってきた。

成果は着実に現れており、選手一人一人が「何をすべきか」考えながらプレーできるまでに成長。今は考えを形にするための実践的な練習に取り組んでいる。「例えば、ジャンピングサーブ。大きな武器になると分かっていても、なかなか使えない。頭で理解していることがどれだけプレーに移せるか。今はその精度を高める段階にきている」(柿原監督)。県で優勝できるチームから、全国で躍進できるチームへ―。柿原監督の言葉からは意識の高さが伝わってくる。

柿原監督が「3年生が成熟しているは当たり前。1、2年生がどれだけリーダシップを発揮できるか、3年生に頼らず力を出せるかがポイントとなる」と話すように、下級生の台頭も著しい。現在のレギュラー陣を脅かすような選手も育っており、選手層はますます厚くなっている。学年問わずのレギュラー争いはチーム内に良い緊張感を生み、さらなる変化、進化を期待させる。

昨年、一昨年と優勝を逃している3年生の思いは強い。1年時からチームをけん引してきたキャプテンの嵯峨慎人(3年)は「ずっと大分南が勝つといわれてきたが、(昨年の春の高校バレー予選は)慢心、過信で負けた。全国で戦うチームをつくってきたので、一つ一つのプレーを大切にして、必ず勝つ」、前畠怜和(同)は「最後の大会という意識はない。全国を見据えている。難しいトスが上がってくるポジションなのでしっかり打ち、ディグなどディフェンス面も貢献したい」と迷いなく話す。

他校も打倒・大分南を掲げて食らい付いてくるため油断はできない。まずは県予選を確実に勝ち抜き、その先にある全国での躍進を目指す。

(甲斐理恵)

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