「一緒に遊べば表情和らぐ」 道化師活動で病の子支える クリニクラウン協が交流会

ワークショップでは参加者と道化師が一緒に輪になって踊り、ユーモアを交えて交流する大切さを学んだ=10月14日、南風原町新川・沖縄小児保健センター

 【南風原】闘病生活を送る子どもを励ますクリニクラウン(臨床道化師)の養成や派遣を行うNPO法人日本クリニクラウン協会(大阪市、河敬世(かわけいせい)理事長)は10月14日、南風原町新川の沖縄小児保健センターで、道化師と市民が交流するワークショップを開いた。小児医療の関係者も参加し、「道化師の励ましが子どもたちに生きる力を与えてくれる」と意義を説いた。(南部報道部・国吉聡志)

 ワークショップでは県内で道化師として活動するポリタンこと伊佐常和さん(67)=那覇市=が、参加者と一緒に輪になって踊りながら自己紹介して、ユーモアを交えて笑顔を作り出す大切さを語った。

 伊佐さんは「最初は知らない人同士でも、一緒に楽しもうという気持ちで遊べば表情が和らぐ」と説明。「パフォーマンスは仲良くなるための手段。病気のことを忘れさせ、子どもらしく過ごせる雰囲気をつくり出すのが重要だ」と語った。クリニクラウン協会の熊谷恵利子事務局長は「訪問する前に病院側と打ち合わせして、子どもの病状や性格を把握する」と語った。

 小児看護専門看護師の屋宜佳成さん(43)は、2018年から約2年半勤務した県立北部病院で、道化師の訪問を受けた。入院していた子どもの警戒心が解け、病棟の雰囲気が一気に明るくなったと振り返った。

 屋宜さんは「感染症の子どもたちは隔離室に入らなければならず、かなりのストレスがかかり、支える家族も疲弊する」と説明。「道化師の励ましによって、前向きに生きようとする子どもたちを何人も見た。治療に欠かせない活動だ」とクリニクラウンの活動の重要性を訴えた。

 小児がんの県内支援団体代表の小川蘭さん=うるま市=は「入院でストレスがある中、支えてくれる人がいるのは助かる」と指摘。「クラウンの活動を通して、入院する子どもたちが抱える悩みや家族の負担の重さが理解されるようになれば」と語った。

「入院中の子どもたちが、子どもらしく過ごせる雰囲気をつくり出すのが大切」と語る道化師ポリタンこと伊佐常和さん
クリニクラウンの意義を語る小児看護専門看護師の屋宜佳成さん

© 株式会社沖縄タイムス社