『ウルフドッグ』ってどんな犬? 種類や飼育の難易度に「そんなに種類がいるとは」「環境を整えるのが大変」

「ウルフドッグ」とは?

ウルフドッグとは、その名の通り家畜化されたオオカミと犬の交配によって生まれた犬種で、「オオカミ犬」と呼ばれることもあります。オオカミと掛け合わされる犬は、シベリアン・ハスキーやマラミュート、シェパードなどの大型犬が中心です。

オオカミの血を75%以上引き継いでいるものを「ハイコンテンツ(ハイパーセント)」と呼び、見た目もオオカミに近くなります。さらに、50〜74%のものを「ミッドコンテンツ」。49%以下のものを「ローコンテンツ」と呼びます。

基本的にウルフドッグとしては、見た目がオオカミに近いほど人気が高いため、ハイコンテンツの個体が選ばれる傾向があります。

体の大きさ

ウルフドッグは超大型犬に分類されるサイズで、体高は60cm~80cm、体重は40kg~70kgが目安です。

ただし、交配する犬種によって生まれるウルフドッグのサイズは異なるため、体重が20~30kg程度の個体もいるようです。

寿命

ウルフドッグの平均寿命は10~12歳です。超大型犬の平均寿命に近いですが、こちらも個体差が大きいため、あくまで目安として考えてください。

性格・気質

ウルフドッグはオオカミの血を強く受け継いでいるため、警戒心が強く繊細で用心深い気質を持っています。野生の血が入っていることから攻撃的な印象を持たれがちですが、どちらかといえば内向的で、家族などごく親しい相手に対しては忠実な姿勢を見せます。

信頼している飼い主さんや仲間には、優しく愛情深い一面も見せますが、敵とみなした相手には果敢に立ち向かう強さも持ち合わせています。

ウルフドッグの種類

ウルフドッグは様々な犬種がオオカミと掛け合わされて誕生しますが、『FCI(国際畜犬連盟)』によって正式に犬種として認められているのは以下の2種類のみです。

そのほかのウルフドッグについては、日本では正式な犬種ではなく交雑種(雑種)とみなされます。

サーロス・ウルフホンド

1920年代から作出が始まったオランダ原産のウルフドッグで、ジャーマン・シェパードと掛け合わせて誕生した犬種です。

体高が高くボディは引き締まって精悍さが漂い、身体能力が高く飼い主に対して忠実です。ウルフドッグの中で最も人気が高く、1975年にFCIにて犬種登録されました。

チェコスロバキアン・ウルフドッグ

容姿・能力共に優れたウルフドッグの作出を目指して、1950年代から交配が始まった犬種です。性格は穏やかで身体能力が高いカルパティアオオカミとジャーマンシェパードの掛け合わせて誕生しました。

サーロス・ウルフホンドに比べると小柄で、見た目は犬っぽさがやや強く出ている個体も多くいます。

「ウルフドッグ」の飼い方

ウルフドッグは群れ社会で生きているオオカミの血を受け継いでいるため、その習性や気質も強く残っています。そのため、ひとりで留守番や活動をするのが苦手だとされています。

運動量が非常に多く、狭い場所で生活をすることに強いストレスを感じることがあります。ストレスが溜まると、破壊行動や攻撃行動を見せるようになることもあるので注意が必要です。

ウルフドッグを飼育する際は、自由に動き回るのに十分なスペースが必要で、1日約2時間の運動をさせることも大切です。また、身体能力がとても高いので、一般家庭の塀や柵は簡単に飛び越えてしまうことがあるため、生活環境をしっかりと整備しなければなりません。

さらに、ウルフドッグは非常に賢く、リーダーと認めた相手の指示には忠実に従います。その反面、犬の扱いに慣れている人でなければ、適切な関係を築くことができず、十分なしつけができないことも考えられます。

また、日本では2020年6月に『動物愛護管理法』が改定され、オオカミと犬の交雑種(第1世代/F1)は「特定動物」に指定されて、愛玩目的での飼育が不可となりました。

第2世代/F2以降であれば飼育できますが、都道府県ごとの条例では飼育方法などの決まりが設けられていることもあるので、事前の確認が必要です。

まとめ

今回解説した「ウルフドッグ」は、野性味あふれる美しい見た目と忠実さを持つ魅力的な犬種です。

しかし、様々な観点から簡単に飼育できる犬種ではありません。

そのため、もし興味を持った場合はそれをしっかりと認識し、飼育のための知識の習得や環境の準備が可否について、まずは調べておくべきでしょう。

(獣医師監修:寺脇寛子)

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