旧ジャニーズファンたちの未だ熱い推し活「聖地巡礼でカフェの電話パンク」「着ていた服は即完売」も

ドラマ「silent」のロケ地、小田急線の世田谷代田駅

10月16日をもって「SMILE-UP.」に社名が変更され、テレビ番組名やユニット名からも「ジャニーズ」というワードが消えつつある。企業による“ジャニーズ斬り”の扱いは、これまで応援してきたファンを軽視しすぎていると、行き場のないモヤモヤした気持ちを抱いている人も少なくない。

それを反映してか、一貫してSnow ManのCM契約継続を発表している洋菓子店不二家には、Xで「#不二家さんありがとう」というハッシュタグができたり、10月1日から予約を開始した特典付きクリスマスケーキは、店頭に行列ができ、すでに特典付き分の予約は終了しているほど。

「推しを応援してくれる企業のものを買って、みんなを応援したい!」と、ファンのなかには旧ジャニーズを離れるどころか、より愛が深まり、商品を購入することで応援している人もいる。

そんな中、事務所所属のタレントの動向も伝えられる。あるジュニアの2人は神社を訪れ「2人で同じグループに入って、事務所を支える人になる! 応援してくれる人に恩返しをする!」と絵馬に願いを託し、SNSで話題となった。

旧ジャニーズに残るメンバーは、今ある仕事に全力で向き合うことがファンへの恩返しになると信じ、エンターテインメントの素晴らしさを伝えようと努力を惜しまず活動をしているのだ。互いに応援し、思いやりを持って成長をする関係性を持ち続けている。

ただ、現場(ライブなどで会える場所)が減っていることは事実。ファンは各自、自分ができることを考え、日々推し活をしているが、より推しを身近に感じられるのは「推しと同じ行動をする」ということ。聖地巡礼や同じ服、小物を身に着けることで気持ちが高まるのだ。

記憶に新しいのは、昨年放送されたドラマ「silent」。撮影は、小田急電鉄と協力をし、下北沢駅~世田谷代田駅など、実際にある駅やお店を使い、ストーリーを展開させることで視聴者との距離を縮め、共感と好感度を獲得した。

世田谷区の閑静な住宅地、犬の散歩でよく撮影現場を目撃したという住民は「毎週楽しみに見ていました!」と、誇らしげに話す。地方から訪れる人も増え、駅周辺は聖地となった。

他のロケ地、アネアカフェ松見坂店も人気が続いている。主人公の2人が手話をするシーンは、思い出すだけでも涙が出るが、あの席は現在もネット予約席として争奪戦となっている。店でラテを注文すると、「silent」というラテアートをするサービスがあり、写真撮影欲を増加させる。

推したちが、自分の気持ちを発信するブログやInstagramは名前を変えて継続しており、そこに出てくる私服姿や身に着けている小物、行った場所などにも注目が集まる。その商品がどこのブランドのものかなどを判断する「特定班」と呼ばれる人たちがおり、情報が公開となるやいなや、細かい商品内容が書かれ、同じ品は即完売かサーバーダウン。

「ネットショップに行ってすぐにポチれた! 早く同じ服が着たい~」という“勝者”のコメントや、「気付くのが遅くて買えなかった、メルカリで探そう」など、推しの影響力は時に予測不可能。

ブランドの店頭販売者も、その情報をキャッチしていることが多く、商品問い合わせにはスムーズに対応してくれる。広告ではないものの、その売れ行きはすさまじい。

現場がない分、高まっている購買意欲は、過去作品購入にも流れ、発売からだいぶ経過した作品がミリオンを達成したCDもあるほど。

そして現在、推し活は幅広いジャンルで楽しめるようになっている。

本人不在の誕生会では、カラオケボックスの推し活パックを利用することも流行っている。

「DVDを持ち込んで人目を気にせず大音量で観られるし、部屋の飾り付けや写真も撮り放題! バースデーケーキに名前入りプレートまでお願いできたりするんです!」

と、あるファンが語るように、推しの誕生日、動画再生回数一億回、○○賞受賞、事務所入所祝いなど、推しに「おめでとう!」と言いたいとき、祝いたいのがオタク。

ド派手なものから、ひとり静かに喜びを?みしめるものまで、表現の仕方も十人十色。

そこには鉄則があるという。

鉄則! 他人の推し方を否定しない
鉄則! 推しは推せる時に推せ

旧ジャニーズのエンタメ魂は、彼らとファンの心に火を灯し続けており、行動の制限があろうがそれは変わらない。何年も、その気持ちでやってきたのだから。

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