中国禁輸 道産海産物への影響は

今回のけいナビのテーマは、福島第一原発の処理水放出に伴う中国の禁輸措置。この影響で道産のホタテも輸出できなくなり、関係者の間に影響が広がっている。

道北の枝幸町。毎年5月から11月まで盛んにホタテ漁が行われ、ことしも1日30トン以上の水揚げがある。水産加工会社の山武水産では、数十人のスタッフが手際よく貝柱を取り出している光景が見られた。中国向けの輸出は止まっているが、例年通りの作業が続いている。

同じく枝幸町内にある海洋食品は、近年の好調な中国向け輸出を背景に大掛かりな設備投資をしたばかりだが、現在は国内のふるさと納税向けの出荷が中心。

地元の水産加工業協同組合の倉庫には、出荷先が決まらない30トンもの商品が積み重なって残されていた。

中国の禁輸措置を受け、海産物の輸出を手掛ける札幌の卸売会社進風は、個人向けが中心だったECサイトの売り先を見直し、より大量の発注が見込める業務用販売を新たにスタート。飲食店を中心に売れ行きは好調で、運営するサイト「ウオス」の販売額は前年の同じ時期を上回った。

進風は、中国に代わる輸出先の開拓にも乗り出している。新たに取引をしようとしているのはベトナム。輸出入商社のドアンティさんは、「北海道の海産物はカニ類を中心にベトナムでも大人気。ホタテの人気も非常に高い」と説明。米国のHACCP基準に対応できる加工業者も現地には多いとし、これまで中国が担ってきた加工品の輸出にも意欲をみせている。

影響は思わぬところにも及んでいる。創業133年、トモエブランドで知られる札幌の福山醸造は、みそやしょうゆも輸出できなくなったとし、中国以外の売り先の確保が必要だと指摘する。中国の禁輸措置をきっかけに、新たな販路を探す道内企業の動きは当面の間続きそうだ。

(2023年11月4日放送 テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)

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