常陽銀行(本店茨城県水戸市)は2日、境支店(同県境町)に勤務していた40代女性行員が、現金5398万円を着服していたと発表した。このうち500万円は弁済されたが、残り約4900万円は回収できていない。同行は10月31日、県警境署に被害届を提出するとともに、11月1日付で行員を懲戒解雇した。
同行によると、元行員は2022年4月から同支店に勤務。店頭営業係に所属し、支店の預金と預かり資産関連の業務を担当していた。
着服していたのは同年7月から23年10月ごろまでの約1年3カ月間。顧客5人の預金記録を不正に改ざんし、顧客が預金を払い戻したように装っていた。行員は着服を認めており、着服した金は生活費や借り入れ返済などに充てていた。
店頭窓口の内部手続きをしていた同月13日、過去の顧客の預金口座から不正な処理の疑いがあることが判明。内部調査を進めたところ、元行員の着服が発覚した。同行は、他の被害の有無についても調べている。
同行は、預金記録の改ざん被害に遭った顧客に対し、事実関係を説明し謝罪。改ざんされた記録は正しく復元され、顧客に金銭的被害は生じていないという。
具体的な改ざんの手法や回数などについては、「警察の捜査の関係上、公表を控える」としている。
同行リスク統括部の石田知巳部長は事務処理に問題があったことを認め、「内部管理態勢の充実・強化とコンプライアンス意識の向上を図り、信頼回復と再発防止に取り組む」と語った。