【MLB】ネルソン・クルーズが引退を発表 今季MLB最年長野手

写真:6月16日のレイズ戦で本塁打を放つクルーズ。これが結果的にキャリア最後の本塁打となった

レンジャーズやオリオールズ、マリナーズなどで長距離砲として活躍したネルソン・クルーズが引退すると発表された。アダム・ジョーンズ氏(元オリオールズ、オリックスほか)が主催する配信で、クルーズ自身が明らかにした。

クルーズはドミニカ出身で現在43歳。今季はリーグ最年長野手としてパドレスと1年100万ドルの契約を結んでDHとしてプレーしていたが、年齢もあって成績が低迷。143打席で5本塁打、OPS.682と振るわず、現地時間の7月4日にはDFAされていた。

クルーズは1998年にニューヨークメッツと契約し、プロでのキャリアをスタートさせた。強打者が多い両翼を守る上、パワーこそあったものの打撃が荒かったことからなかなかMLBでの出場機会を得られなかったが、2006年のレンジャーズ移籍が転機となった。

移籍2年目の2007年には332打席に立つなどキャリアハイの出場機会を得ると、翌2008年には133打席ながら7本塁打、OPS1.030をマークする大暴れ。2009年にはレギュラーとして128試合に出場し、33本塁打を放つ活躍を見せた。

この時クルーズはすでに28歳のシーズン。多くの選手がキャリアハイを迎える年齢だが、クルーズが素晴らしかったのはこの後長年に渡って息の長い活躍を見せたことだ。

28歳だった2009年から40歳を迎えた2021年まで、実に12シーズン連続で20本塁打以上を達成(短縮シーズンの2020年を除く)。守備力が衰えた晩年は主にDHとして、優勝を狙うコンテンダーを支えた。

各ポジションの最優秀打者に与えられるシルバー・スラッガー賞は4度受賞しているが、うち3度は35歳以降に指名打者として受賞したもの。7度のオールスター選出もそのうち6度は32歳となった2013年以降のものだ。

そして35歳以降に放ったホームランの数は、バリー・ボンズ(ジャイアンツ)に次ぐ203本。通算464本塁打のうち半分近くをキャリアの終盤に放った。

まさに大器晩成という言葉にふさわしい選手と言えるだろう。

ちなみに近年では指名打者として、守備のイメージは非常に薄いクルーズだが、若い頃は守備走塁も一定以上の能力を持った選手であった。

レギュラーに定着した2009年には20盗塁、2010年にも17盗塁を記録したほか、各種守備指標で平均を上回る貢献を残していた。その後は故障や加齢もあって守備面では足を引っ張ることが多くなったが、最初から打撃専門の選手というわけではなかったというのは知っておいてもよいかもしれない。

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