山形大に「デジタル学環」 50年ぶり「新学部」、25年設置へ

山形大小白川キャンパス(資料写真)

 山形大は2日、新たな学部に相当する「社会共創デジタル学環(仮称)」を2025年4月に設置する構想を発表した。文理横断型のプログラムでデータサイエンスなどを学び、デジタル技術で地域課題を解決する人材の育成を目指す。新たな学部に相当する組織の設置は、1973(昭和48)年の医学部設置によって6学部体制となって以来、約50年ぶりとなる。

 小白川キャンパスにある3学部(人文社会科、地域教育文化、理)の専門性や強みを結集し、文系・理系の枠を超えた教育を展開する。必要なデータを収集して分析する能力、アントレプレナーシップ(起業家精神)やビジネスの視点などを重視し、現実的な問題の解決に取り組む力を育てる。入学定員は30人。

 昨年10月に同大や県内の全市町村、経済団体などで設立された「やまがた社会共創プラットフォーム」と連携し、県内各地の課題を共有する。

 また、大学院理工学研究科博士前期課程に「数理情報システム科学専攻(仮称)」を設置する。小白川キャンパスの理学専攻データサイエンス領域と、米沢キャンパスの情報・エレクトロニクス専攻を統合し、拡充する。より高度な情報専門人材を養成する。入学定員は88人。

 今後、文部科学省の大学設置・学校法人審議会の審査を受ける。学長定例記者会見で発表した玉手英利学長は「人口減少や産業構造の変化に対応でき、社会のデジタル化を担う人材育成は高等教育機関に課せられた重要な課題」と指摘。出口毅理事・副学長は「本県を中心に地域から入学者を集め、地域と共に教育したい」と話し、卒業後の地元定着も目指すとした。

新産業創出、山形大採択 内閣府事業、計2億5000万円配分へ  山形大は2日、内閣府の「地域中核大学イノベーション創出環境強化事業」の採択を受けたと発表した。強みの有機材料システムを核に新産業の基盤形成を目指す。本年度は1億5千万円の資金配分を受ける。

 同事業は、地域の中核大学が特色を発揮し、ニーズに沿った社会貢献を進める取り組み。大学は地域の課題解決につながる研究を進め、地域産業への技術移転を促す。県との連携、企業との共同研究も進める。

 飯塚博理事・副学長は、有機材料システム分野について、地元産業との結び付きがあまりなかったことを反省点とした上で「農業や介護、医療などの分野に、基礎的な研究を生かし、新産業を創出したい」と話した。

 事業期間は来年度までの2年間。来年度は1億円の配分を受ける予定。

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