球場外でも“つなぐ野球” 東桜学館、途上国にバット発送へ・高校野球新基準移行前に有効活用

海外に送るバットなどを手にする鷹島健佑監督(中央)と選手たち=東根市

 高校野球は来春から、公式戦で使用できる金属バットが、低反発の新基準に完全移行する。行き場に頭を悩ませるのが、従来基準のバット。東桜学館高(東根市)の野球部は有効活用の道を探ろうと、発展途上国に寄贈するプロジェクトを立ち上げた。部員たちは「道具に新しい役割ができる。野球の振興にもつながるといい」と期待している。

 日本高校野球連盟は、鋭い打球による負傷事故防止や投手の負担軽減を目的に新基準を定めた。新基準のバットは従来より断面が約1センチ厚くなるなどし、打球の初速が約3.6%減少するとされる。今年までが移行期間で、来年の選抜高校野球大会と各都道府県の春季大会からは新基準のみの使用が認められる。

 完全移行が迫る中、東桜学館高野球部の鷹島健佑監督(39)は、従来基準のバットを廃棄することが「もったいない」と感じていた。今年8月下旬の学校祭で、リユースのために衣類が収集されているのを見て、部で使用しているバットも途上国などに送れないかと考えた。

 校内の各クラスに呼びかけたところ、野球やソフトボール経験者の生徒がグローブなどを寄せてくれた。普段から用具の供給などでつながりがある富士スポーツ(本店・尾花沢市)からも、練習用ユニホームなどの提供を受けた。硬式と軟式を含め、バットは10本程度が集まった。今月中にも、海外への物品提供を行うNPO法人に発送する。

 野球部主将の2年斎藤己鳳(こだか)さん(17)は「愛着がある分、今後も使われる環境に届くことがうれしい。野球の楽しさも広がってほしい」と話した。鷹島監督は「生徒たちには、道具を大切にすることを改めて意識してほしい。小さな取り組みではあるが、将来的な野球振興、競技人口拡大につながるといい」とした。

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