車をぶつける、ビニ傘をいつも買い足す「お金が貯まらない人」の悪癖10

先を見通す力が甘いと車を乱暴に運転してぶつけたらムダな出費がかさんでしまうという危機感が薄い(写真:アフロイメージマート)

「お金が貯まらない人には、共通したクセがあります。お願いしていた期限までに返事が届かなかったり、似たような言い訳をしたりする人は、貯蓄額を見るとやっぱり貯まっていないんです」

そう話すのは、ファイナンシャルプランナーの塚越菜々子さん。

これまで1300人以上の家計相談を受けるなかで、お金が貯まらない人の特徴や行動が見えてきたという。

「ちょっとした習慣や心構えを変えるだけでムダ遣いが減るのに、と感じることがあります」(塚越さん・以下同)

お金が貯まらない人には、さまざまな悪癖が。

「家計相談をしていると、都合よく数字を丸めて、端数を四捨五入する人がいるのですが、自分で認識している金額と現実の金額の差が大きく開いて、『使った覚えがないのに、お金が貯まらない』と嘆きがち。なぜだか車をよくぶつける人も、貯蓄額が低い傾向にあります。先を見通す力が甘いため、車を乱暴に運転してぶつけたら、ムダな出費がかさんでしまうという危機感が薄いんです」

行き当たりばったりで行動するタイプも、お金が貯まりにくいという。

「外出先で予定外の買い物が多い人。急に雨が降ってきて傘を買う、思ったよりも寒くてカイロを買う、自動販売機で飲み物を買う。これらはすべて、事前に準備しておけば、必要なかったお金のはず」

自分にも似たようなクセがないか、考えてみよう。当てはまるようなら、お金を貯められない原因になっているかも。

「SNSが発達したことで、他人の生活を垣間見ることが増えました。それによって、“隣の芝生は青い”ことが起きてしまい、自分が必要と思って買うのではなく、他人が持っているから手に入れたいと、他人軸で考える人が増えています」

とくに、スマホで最新情報をチェックしている人は要注意。SNSやネットニュースでは、見たい情報を選択的に見てしまうため、自分の中の基準よりも、他人の基準を優先しがちになる。

「みんなが流行のバッグを持っているように感じてしまい、自分も持たないと恥ずかしいと思い込んだり、ダイエット中にもかかわらず、限定販売のスイーツを買いに行ったり。でも、必要かどうかを軸に自分の基準で考えれば、貯められるお金だったはずなんです」

■貯め下手には典型的な口グセが!

お金が貯まらない人の習慣は、口グセにも表れる。

「何かにつけて『もったいない』と言う人は、倹約家のように見えて、実はお金より物を溜め込んでいるケースをよく見かけます」

物が多くなると、必要なものが見つからなかったり、持っていることを忘れたりして、結局同じものを購入するハメに。

本当に必要なものを大事に使っていないことで、衝動買いも多くなる傾向にあるという。

「しかも、物が多い家に住んでいれば、探す手間がかかって時間を失い、落ち着いて物事を考えられなくなります。そうすれば、先の見通しを立てるヒマもなく、行き当たりばったりの行動になって、予定外の出費が増えるという負のスパイラルが生まれるのです」

貯まらない人の典型的な口グセは、「これくらいは普通」。

「よく聞きます(笑)。『みんなやってる』『みんな持ってる』という気持ちは『バンドワゴン効果』といって、みんなが支持していると聞くと、より一層それが欲しくなる心理が働いている可能性が。自分の判断に自信がない人がわりと陥りがち」

■お金が貯まらない人の悪癖10

【1】都合よく数字を丸める(四捨五入する)

買い物の金額や貯蓄額を、ざっくりすぎる数字で把握。「支払ったのは6万円くらい」と言いながら、実は6万8000円など、都合よく数字を丸める。自分が把握しているつもりの額と現実の金額に大きな差が出て、慌てることも。

〈対処法〉お金の計算は、ざっくりとではなく、百円単位で行おう。支出額の把握はムダ遣いを防ぐ第一歩。計算が苦手な人はスマホに無料の計算アプリなどを入れておくと便利

【2】なんでも先延ばしにする

「明日までの提出書類を書かない」「返事を保留したまま」「整理する予定の書類が山積み」など、先送りグセや保留グセがある。お金の使い方も、後先考えずに欲求を先に実現させてしまう悪いクセが。貯蓄にまわすべきお金を無計画に使ってしまう習性も。

〈対処法〉先取り貯金がおすすめ。給与が入るタイミングであらかじめ決めた金額を先に貯蓄にまわし、残りのお金で生活することで、いろいろ考えなくても、自然と貯まる仕組みをつくれる。

【3】ビニール傘をよく買う

出掛ける前にバタバタ準備することが多い。“雨が降るかも”と考えずに家を出るため、ビニール傘を毎回買うハメに。コンビニで傘を買うついでにスイーツも買うなど、余計なお金を使う機会が増え、どんどんお金が減っていく。

〈対処法〉朝に天気予報を見る習慣を。一日の行動を考え、服装や持ち物の準備を万端に。一日の予定を見通して行動することで、数年先を見通す訓練にもなる。

【4】車をよくぶつける

「これくらい大丈夫でしょ!」と運転した結果、車をこすったり、ぶつけたりする失敗を何度か経験済み。乱暴な運転をしていることに気づいていない可能性大。保険料は爆上がり、修理代はもちろん燃費も悪く、ケガをしたときの医療費もかさみ、ため息をついたこと多数。

〈対処法〉物を大事に扱うことが、節約につながると意識する。急いでいるときはまわりが見えなくなって、運転も荒くなりがち。勢いで行動せず、一呼吸おいてしっかりと確認を。

【5】スマホを使う時間が長い

頻繁にSNSをチェックしたり、ネットニュースを見る習慣がある。情報に踊らされ、「みんな持っているから手に入れたい」と判断基準がまわりに流されがち。見えのために散財することも。「有名人おすすめの店」「行列の店」のワードにも弱い。

〈対処法〉情報に振り回されず、自分の中で「必要」「いらない」の軸を持つこと。「行ってみたい店は月1回まで」「ネットショッピングの予算はいくら」と基準を決めておく。

【6】クレジットカードを複数使い分ける

3枚以上のクレジットカードが財布にあり、お店ごとにカードを使い分けてポイントを貯めるが、思ったよりも貯まっていないと感じることが多い。また、あちこちから利用明細が送られてくるため、そのまま放置。不正利用に気づいていない恐れも。

〈対処法〉ポイントを無理に貯めるよりも、クレジットカードはメインカードを1枚、サブ1枚に絞る。実は少ないほうがポイントが貯まりやすく、有効活用しやすい。利用明細の確認もラクに。

【7】「もったいない」が口グセ

押入れや引出しがいつもパンパン。「必要ないけど、捨ててはお金がもったいない」という気持ちを常に持っていて、捨てられない。何を持っているかを把握できず、重複買いも多い。小さな損を避けるために、大きな損をしていることに気づいていない。

〈対処法〉必要のないもの、使わないものは「ありがとう」と感謝しながら手放す。物を減らすと部屋の管理がしやすくなり、今あるものを生かそうとすることで、ムダ遣いや重複買いが大幅減。

【8】「それだけはしたくないんだよね」が口グセ

趣味や遊びなどのお金管理の言い訳でよく使う。「夫の唯一の趣味だから、これだけは手放せないの」「どっちの習い事もやめることだけはしたくないんだよね」など。“それだけ”じゃないですよね、とまわりは突っ込みたくなることも……。

〈対処法〉限られた状況のなかで、どれも手放さないのは難しいこと。「〇〇だけは」と言うときは、本当にほかは手放しているのか、優先順位が間違っていないか改めて確認を。意外とすんなり手放せることも。

【9】「これくらいは普通」が口グセ

買い物のたびにつぶやいて、自分を納得させている。自分の判断に自信がない人という疑惑も。「まわりは孫にこれくらい普通におこづかいをあげている」「リフォームにこれだけお金をかけるのは普通」のように使うことも多い。

〈対処法〉他人の家計ではなく、自分の家計と向き合って決めることが大事。使えるお金のなかで、それができるのかどうか落ち着いて考える習慣を。まわりに流されているだけかもと自分を疑って。

【10】「税金が高い」が口グセ

いつも同じお金のグチが止まらない。「どうせお金が出ていくのだから、節約してもしょうがない……」とやる気が消失中。問題を直視せず、まわりのせいにしながら自分では行動しない習慣あり。

〈対処法〉お金のグチはぐっとこらえること。お金が貯まる口グセ「ありがたい」「やっぱりお金は大事」に言い換えて。自然と1円単位でも大事に使おうという気持ちが湧いてくるはず。

これらの悪癖に心当たりがあれば、今すぐ見直しを。それによって、自分でも気づかない浪費グセがみるみるよくなる可能性が。

「これらのクセを改善すれば、月6万円くらい減る人は多いはず。考え方のクセや行動グセが変わることで、見栄のために使っていたお金や、いつかやめようと思っていた固定費、ガソリン代など、少しずつ支出が減って、家計全体の見直しにつながるからです。頑張れば、年に約70万円を貯金することも夢ではありません」

先述の10項目をはじめ、いつまでも悪癖を直さずにいたら、一生お金は貯まらない! 一日も早く断ち切ろう。

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