八戸-大阪間 コメ列車輸送 「全農号」5日から定期運行

 JR貨物と全国農業協同組合連合会(JA全農)、全農物流(東京)は5日、コメを輸送する専用貨物列車「全農号」の定期運行を八戸-大阪間で始める。トラック運転手の残業規制強化に伴う物流の「2024年問題」への対応の一環。コメ主産地の東北や新潟、北陸から東海、西日本の消費地への輸送ルートを確保し、コメの安定供給を図る。

 3者によると、全農号はJR貨物の八戸貨物駅(八戸市)を夕方に出発。東青森駅(青森市)を経由し、秋田、新潟、金沢の各貨物駅で周辺産地の倉庫から出荷されたコメを積み込み、百済貨物ターミナル駅(大阪市)に翌日夕方に到着する。初日の5日はコンテナ100基分(約500トン)のコメを輸送する。

 3者は今年2~7月に計3回の試験運行を行い、取引先からの発注の確保や、輸送中のコメの品質確認など定期運行化に向けた準備を進めてきた。

 農家が生産した農産物を輸送する全農物流によると、コメの輸送は従来、トラックに加え、一部はコンテナでの鉄道輸送を行っていたが、専用列車を定期運行するのは初めてという。来年3月までは月2回運行する予定で、4月以降は週1回の運行を目指す。

 全農物流の担当者は「2024年問題によってこれまで通り運べないリスクもあり、定期的な鉄道輸送ルートを事前に確保しておくのが最大の狙い。(同問題は)実際に始まらないと分からない部分も多いので、全農、JR貨物と相談しながら進めたい」と話した。

© 株式会社東奥日報社