連載コラム【MLBマニアへの道】第8回:オフシーズン最大の目玉は2人の日本人選手 あの若手スター選手のトレードがあるのかにも注目

写真:オールスターでは他球団ファンからも大歓声を浴びていた大谷

2023年シーズンのワールドシリーズは、レンジャーズが4勝1敗でダイヤモンドバックスを下し球団史上初のチャンピオントロフィーを手に入れた。レンジャーズは2021年に102敗しながら、わずか2年で30球団の頂にまで上り詰めたわけだ。この急成長の要因は様々あるが、中でも最も大きかったのは集中的なFA補強だ。レンジャーズは2021年オフにコリー・シーガー、マーカス・セミエン、ジョン・グレイら目玉FA選手を一気に獲得。さらに2022年オフにもネイサン・イオバルディ、ジェイコブ・デグロム、アンドリュー・ヒーニーら投手の補強に勤しんだ。デグロムは故障で長期離脱するなど何もかもがうまくいったわけではなかったが、この2年の大型補強は確実にチームを強くし、彼らの活躍もあってワールドシリーズ制覇に至った。

オフシーズンという新たな戦いが始まった今、各球団フロントは「第2のレンジャーズ」を作り上げるべく奔走していることだろう。今オフ最大の目玉選手となっているのは、もちろん大谷翔平だ。11月2日(日本時間3日)に発表されたMLB選手会の「プレイヤーズ・チョイス・アワーズ」では選手間投票でア・リーグの最優秀選手に選ばれた。ロナルド・アクーニャJr.やガナー・ヘンダーソンら他の受賞者らが口々に「エイリアン」「ユニコーン」などと表現するほどの規格外の選手だ。初めてFAとなったこのオフ、大谷は史上最大規模の巨額契約を手にする可能性もある。

大谷は右ひじ手術を受けた影響で、来季は打者に一本化。2025年シーズンからの二刀流復帰を目指すことになる。来季すぐに先発ローテーションで活躍できるエースが欲しい球団にとっては、大谷以外の選択肢を探ることになる。「プレイヤーズ・チョイス・アワーズ」でナ・リーグの最優秀投手に選ばれたブレイク・スネルがFAになっているが、そのスネルすら上回る契約を得る可能性があるのが、オリックスからポスティングでのメジャー挑戦が見込まれている山本由伸だ。

明日の日本シリーズで今季最後の先発登板予定の山本は、来季開幕時まだ25歳という若さ。その年齢と日本での3年連続四冠という史上最高の実績により、山本の契約は2億ドル規模になる可能性がある。もしこれが実現すれば、日本人投手として史上最高額なのはもちろんのこと、MLBでも6人しかいない2億ドル投手の仲間入りをすることになる。昨年のアーロン・ジャッジのような超大物が他にいない今オフのFA市場では、契約総額で大谷と山本がワンツー・フィニッシュする可能性は高いだろう。

また、オフシーズンの補強はFAだけではない。大物選手のトレードにも要注目だ。中でもフアン・ソトの去就は球団間の勢力図を変える可能性がある。パドレスは2022年に8人の選手が絡んだ大型トレードでソトを獲得。2024年シーズン終了後にFAとなるソトとの契約延長を狙っていたが、球団の財政状況が芳しくなく年俸削減の可能性が浮上している。来季年俸が3000万ドルを超えると予想されているソトの再トレードもあり得る状況で、実現すれば大谷に次ぐ大物の移籍となるだろう。

大谷、山本、ソトらはいずれもチームを一段上に引き上げるほどの戦力だ。この目玉選手たちを獲得することができるのはどの球団になるのか。このオフシーズンは彼らの動向から目が離せない。

文=Felix

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