女子サッカーブームと「冬の時代」、W杯初優勝、そして今… なでしこ元代表・小野寺さんを訪ねてみた

「女子サッカーの面白さを全ての女性に伝えたい」と話す小野寺さん=大和スポーツセンター競技場(大和なでしこスタジアム)

 女子サッカーの黎明(れいめい)期をけん引してきた、なでしこジャパンのレジェンドが大和市役所にいる。元日本代表ゴールキーパー(GK)の小野寺志保さん(49)。現役引退後、「地元に恩返しがしたい」と出身地の同市に入庁、女子サッカーの普及に汗を流している。ブームと「冬の時代」、後輩たちが成し遂げたワールドカップ(W杯)初優勝、そして今…。その目に映ってきた景色を知りたくて、小野寺さんを訪ねた。

 その瞬間、女子サッカーにささげてきた、これまでの時間が全て報われた気持ちになった。

 現役に別れを告げたのと同じ2011年、なでしこジャパンが世界の頂点に立つ。W杯ドイツ大会で初優勝。世界ランク1位の米国を初めて破っての快挙だった。読売サッカークラブ女子・ベレーザ(現日テレ・東京ヴェルディベレーザ)で辛苦を共にした後輩、澤穂希さんが高々とトロフィーを掲げた。

 「先代の選手たちが、何もないところからサッカーを続けてきた。その情熱がアマチュアの全国リーグ設立につながり、五輪種目の採用につながり、女子W杯の開催につながった。自分の選手時代もさまざまな変化にさらされたが、その変遷を知る澤選手らが、女子サッカーを大切に育ててくれた。W杯優勝は日本の女子サッカーという大輪の花が開いた瞬間だった」

 大野忍、川澄奈穂美、上尾野辺めぐみの大和市ゆかりの3選手が躍動したのも、また大きな喜びだった。

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