3台目の499Pが登場? フェラーリ、2024年WECに向け「サポートの準備はできている」

 フェラーリのグローバル耐久部門責任者であるアントネッロ・コレッタは、イタリアのメーカーが来季2024年のWEC世界耐久選手権で、3台目のハイパーカーの参戦をサポートする用意があると述べた。

 コレッタはバーレーン8時間レースを前に、追加のフェラーリ499Pは「おそらく」カスタマーカーになるだろう、と記者団に対して語ったが詳細については明かさなかった。

 2024年シーズンのエントリー申し込み締切は11月20日となっており、その1週間後にエントリーリストが発表される予定だ。

 フェラーリは今年、AFコルセが運営するファクトリーチームが2台の499Pを走らせるかたちでスポーツカーレースのトップレベルに復帰した。アレッサンドロ・ピエール・グイディ、ジェームス・カラド、アントニオ・ジョビナッツィがドライブする51号車はル・マン24時間レースで優勝し、50号車とともに両クルーは今週末、ハイパーカー・ドライバー世界選手権のタイトルを獲得する可能性を残している。

 バーレーン・インターナショナル・サーキットでの囲み取材でコレッタはSportscar365に対し、「最終的な3台目のクルマに関しては、私たちは今、それに備える準備ができている」と語った。

「私たちの知識は、もう1台の別のクルマを管理するうえで問題ないと考えている。実際に3台目がそこにあるかどうかはわからないが、もう1台を作る準備はできている」

「来年のコンディションが整えば選択肢のひとつになるはずだ。だが、まだ確定ではない。2024年か2025年になるはずだ」

 仮に3台目のフェラーリ499Pがグリッドに追加される場合、当該のハイパーカーはル・マンだけに焦点を当てるのではなく、WECのフルシーズンを走ることになる。ポルシェは3台目のファクトリーLMDhをル・マンのグリッドに置くことを望んでいるが、参加は主催者であるACOフランス西部自動車クラブの裁量に委ねられている。

リシャール・ミル・AFコルセの83号車フェラーリ488 GTEエボ 2023年WEC第7戦バーレーン8時間レース

 3台目のフェラーリ499Pは、現在LMGTEアマクラスに参戦しているものの2024年から始まるLMGT3への継続参戦は期待されていない、リシャール・ミル・AFコルセのエントリーに関連する可能性があると考えられている。

 高級時計メーカーの創業者でFIA耐久委員会のリシャール・ミル会長の名を冠するチームの関与について、「選択肢のひとつ」としたコレッタ。同氏はまだ何も確定していないと付け加えた。

 AFコルセが3台目のマシンの技術的な力になる可能性があるかと問われたコレッタは、「そうなるべきだが、状況次第だ」と答えている。

「AFコルセに予算があるのなら、AFコルセ(のファクトリーチーム)と一緒に管理するのも1つのアイデアだ」

「いずれにせよ、エンジンと電子部品のすべてを管理する必要があるが、これはF1のように顧客チームと一緒に行うのが普通だ」

リル・ワドゥ(リシャール・ミル・AFコルセ) 2023年WEC第7戦バーレーン8時間レース

■GTドライバーの499Pテストは無関係(?)

 コレッタは、リシャール・ミル・AFコルセのドライバーを務めるリル・ワドゥと、GTワールドチャレンジ・ヨーロッパに出場したロバート・シュワルツマンが、決勝翌日の日曜日に行われるWECルーキーテストに参加することについて、ハイパーカーの追加参戦の話とは距離を置こうとした。

「リル・ワドゥやロバート・シュワルツマンがルーキーテストに参加するのは、彼らがフェラーリの公式ドライバーだからだ。このことははっきりさせておきたい」と彼は付け加えた。

「我々が私たちのドライバーとルーキーテストを行うのは普通のことだ。だが、それは彼らにとってのサードカーの可能性とはまったく別のものだ」

 フェラーリは以前からカスタマーをLMHプログラムに組み込むことに前向きだったが、499Pの販売については今年の夏の時点では軽視されていた。

 同社は先週末、ムジェロで『フェラーリ499Pモディフィカータ』を発表した。今年デビューしたハイパーカーの名が与えられたこのクルマは、顧客向けに製造されたLMHのトラックデー限定(サーキット専用)モデルであり、競技用の車両ではない。

非競技用途のサーキット専用モデル『499Pモディフィカータ』
フェラーリ499Pは現在、フェラーリAFコルセのオペレーションによって2台体制でWECに参戦している

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