マリンタウンに大型MICE、カーミージー隣にホテル、泡瀬に人工島… 5年後の沖縄はどうなっているんだろう【10月28日~11月3日 タイムス+プラスのみどころ】

 沖縄に長年暮らしていると、一度は、大規模な再開発事業やマンション・ホテル、商業施設の建設などで年々変わりゆく島の景色について、立ち止まって考えたことがあるかもしれません。これから先、沖縄はどうなっていくんだろう。今週は、5年先のこの島の未来を改めて考えずにはいられないニュースがありました。今週のデジ編チョイス、担当は篠原知恵です。

MICE施設の広さ、浦添パルコと比べてみた

 沖縄県は10月30日、与那原町と西原町にまたがる「マリンタウン地区」に整備する大型MICE施設について、事業の実施方針を公表しました。運用が始まるのは約5年後の2029年3月。

大型MICEが整備される与那原町と西原町にまたがるマリンタウン地区

 驚くのが、その施設面積の巨大さ! 「14.5ヘクタール」と数字だけ聞くと、イメージしにくい。県内の大型商業施設と比べてみると…。

 イオンモール沖縄ライカム:売り場約8.6ヘクタール、敷地全体約17.5ヘクタール
 サンエー浦添西海岸パルコシティ:売り場約6ヘクタール、敷地全体約8.5ヘクタール

 あの浦添パルコの売り場面積の2倍以上、ライカムの売り場面積でさえ、優に上回ります。さらに、大型MICE施設にはホテルや交通ターミナルなどを併設する計画があるというので、5年後のこの一帯は、様変わりしていそうです。

「狭い市場で取り合いにならないか」

 民間の資金を活用した社会資本整備(PFI)の手法を想定しているという大型MICE施設。エキスパートEyeのコメンテーターからは厳しい意見も。

 東恩納盛雄さん(名桜大学教授):
 大型MICEであればあるほど、一挙に大量の人数を運ぶ交通機関の充実や、アフターMICEを同地区で行うための施設の誘致や宿泊施設も必要となる。しかし、月に数回の大型MICEの開催のために、受け入れ可能な料飲施設や大型ホテルが積極的に進出してくるか、現段階では疑問だ。現存する沖縄コンベンションセンターも、断るほどの案件もなく、狭い市場でMICEの取り合いになり、どちらにも影響が出る可能性も高い。(引用

 また、ケイスリー代表取締役の幸地正樹さんは「地域のニーズ、民間の創意工夫を活かしきる柔軟さと行政側の覚悟など、PFIの検討すべきポイントは多くある」としつつ「全国の事例をみると、PFIがうまくいくかどうかは、来年5月に予定されているという入札公告を適切に作成できるかに集約される。関係者の動きを注視したい」などとコメントを寄せました。

カーミージー隣に17階建てホテル、複雑な思いも

 5年後といえば、先日、浦添市港川の西海岸に面した土地で、17階建てリゾートホテルの開発構想が浮上している、というニュースも飛び込んできました。2028年秋の開業を目指しているそうです。

リゾートホテルの開発が予定される浦添市港川の西海岸地区

 開発予定地に隣接する「カーミージー」といえば、浦添市民からの公募で選ばれた「浦添八景」の一つで、市民が大切に思ってきた場所。市は2017年、カーミージーと周辺の自然海浜やイノー(礁地)を貴重な地域資源として保全・活用するための「里浜条例」も制定しています。

 自然豊かな海浜やイノーで遊び、学ぶ子どもたちの姿も多く見かけます。

 そのためか、今回の計画に複雑な思いを抱いている人も少なくない様子。エキスパートEyeのコメンテーターからも、こんな疑問が寄せられました。

大城勝太さん(エフエム沖縄アナウンサー・ディレクター):
 北谷から浦添に至る海岸線は都市型のオーシャンフロントリゾート地に適しているとは思う。しかし、自然豊かな亀瀬(カーミージー)に17階建て280室のリゾートホテルは必要だろうか?
 個人的には大きな疑問が残る。百歩譲って、沖縄や浦添の文化的な背景をきちんとひもといたコンセプトで、富裕層向けのコテージといったリゾート開発が限界ではないだろうか。また、台風時には通行止めになる場所で、近くにコンビニなどもない。台風時は陸の孤島にもなりうる場所で、利用者やそこで働く従業員の安全をどう確保するのか。
 今年8月の台風のように丸々1週間暴風圏内に巻き込まれるような事態が発生しないとも限らない。そもそも、亀瀬の自然保護に熱心な地域住民が、その開発を許すのだろうか。

沖縄市の人工島「潮乃森(しおのもり)」も…

 5年後といえば、年間60万人の観光客を見込んでいる沖縄市泡瀬沖の人工島「潮乃森(しおのもり)」も、順調に行けば完成を迎える頃です。県内最大級900メートルのビーチを有することも話題を呼びましたね。将来的にはリゾートホテルや複合型商業施設などが立地する予定といいます。

ビーチフェスタで一時開放された人工ビーチで楽しむ市民や観光客=8月、沖縄市泡瀬沖合の人工島「潮乃森」

 5年後、私たちが暮らす沖縄はどう変わっているのでしょう。  今日は3連休の中日。皆さん、体調に気をつけて、秋の沖縄を満喫されてくださいね!

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