第20回尚巴志ハーフマラソンin南城 あす号砲 秋の南城路いざ走破 ハーフと3キロに6072人挑む

第19回大会の様子

[第20回尚巴志ハーフマラソンin南城市]

 第20回尚巴志ハーフマラソンin南城市大会が5日、南城市文化センターシュガーホールを主会場に開かれる。急勾配で知られる新里坂(しんざとびら)や絶景のニライ・カナイ橋など特色あるコースに、県内外から計6072人(ハーフ・3キロ)が挑む。20回記念大会の今年は、ランナーや市民の親睦を深める大交流祭を初めて催す。コース攻略法や完走を目指すチームを紹介する。(南部報道部・榮門琴音)

■「無理せずゆったり」が鍵

ベテランランナー 平田安則さんに聞く 上り坂 目線落とす 下り坂 駆けない

新里坂をゆっくりと上る平田安則さん。「坂は駆け上がらず、体力温存がポイント」とアドバイスする=10月25日、南城市佐敷新里

 初心者でもチャレンジしやすい尚巴志ハーフマラソン。ただ、5キロ地点に高低差150メートルの上り坂「新里坂」、11キロ地点には絶景ポイントの下り坂「ニライ・カナイ橋」があり、起伏のあるコースを制するにはこつも必要だ。マラソン愛好家でつくる「さしき健走会」の副会長でフルマラソンを29回完走した平田安則さん(70)は「前半は体力温存、後半は下りで駆けないこと」と指南する。

 「制限時間3時間15分の『15分』はおまけと考えるといい」と平田さん。序盤の難所、新里坂を頑張って走ると後半まで体力が持たないため、「おまけの15分を使うつもりで無理して走らない」とアドバイスする。

 以前は新里坂を駆け上がり2時間前後でゴールしていたが、坂は走って8分、歩いても12~13分。「走っても歩いてもあまり変わらないので、ここは体力温存がポイント」と強調する。坂では目線を前に向け過ぎると体が反って負担になるため、5、6メートル先に目線を落とすのも重要という。

第19回大会の様子=2022年11月6日

 ニライ・カナイ橋から安座真までは連続的な下り。周囲につられてスピードを出すと、終盤のフラットなコースで腰や膝にダメージが出かねない。歩幅を狭くして足の回転を速くするピッチ走法で「きれいな景色を眺めながらゆっくり」を提唱する。

 平田さんは「市民マラソンはゆったり楽しむ感じがいい。たくさんの人と走る楽しさを利用し、完走を目指してほしい」と語った。

幼なじみで限界突破

南城市の3人組「限界高校生」

走って限界突破を目指す(左から)伊集大士郎さん、吉田順馬さん、知念正信さん=10月16日、南城市

 南城市の幼なじみ3人組「限界高校生」には、走って超えたい「限界」がある。

 リーダーの吉田順馬さん(18)=向陽高3年=は「学校と塾で勉強のし過ぎ」、知念正信さん(18)=知念高3年=は「アルバイト週7日と受験で忙し過ぎる」、伊集大士郎さん(18)=沖縄工業高3年=は「学校に女子がいない」という理由で、それぞれの場で「限界」を感じているという。

 大会出場を提案したのは伊集さん。3人は「走って限界を超えていこう。こんな時に走るからこそ成長できる」と考え、初めてのハーフマラソンに挑む。

 2時間半以内のゴールを目標に掲げ「なるべく固まって走り、風よけのローテーションを組む」戦略も立てている。

 吉田さんは「高校卒業後はばらばらになるので、一緒に思い出を残したい」と話し、3人で笑い合った。

練習量共有して刺激

糸満自動車学校「糸自走ろう会」

「職場では見られない表情が見られるのが楽しい」と話す(前列左から)湧稲国直樹会長、稲福丈彦副会長ら糸自走ろう会=10月28日、糸満自動車学校

 糸満自動車学校の職員らでつくる「糸自走ろう会」から8人がハーフにエントリーした。ゴールするときの苦しげな表情や笑顔といった「職場では見せない表情が見られることも楽しみ。全員完走を目指す」と意気込んでいる。

 湧稲国直樹会長(48)、稲福丈彦副会長(47)らは「1カ月で50キロ以上走る」との目標を立て、マラソンアプリで走った距離の情報を共有。「きょう5キロ以上走っている人がいる。俺も」と互いに刺激し合い、達成できなかった人が弁当をおごる約束で練習に励んでいる。

 仲間と出ることでテーピングを手伝ってもらうなど、心強さも増す。以前の大会で途中棄権した同僚が走り込む姿も見ており、完走できるかどうかも楽しみの一つだ。湧稲国会長は「チームでないと得られない達成感もある。全員の完走後は、おいしいお酒と食事を楽しみたい」と笑顔を見せた。(南部報道部・又吉健次)

節目の大会迎え感謝

大会会長・南城市長 古謝景春氏

 

 今年は第20回記念大会となります。沖縄を代表するハーフマラソン大会として成長し、継続できたのは、大会を支えていただいた市民、ランナー、そしてスタッフやボランティアの皆さまのおかげです。心より感謝申し上げます。

 第20回大会を記念し、大会終了後に「尚巴志大交流祭」を開催します。ランナー対象の大抽選会や各種ステージイベント、打ち上げ花火などを予定しています。

 小まめに水分補給をしながら、豊かな自然の風景と起伏に富んだコースを楽しんでいただきたいと思います。

記念Tシャツ 背面に「20th」

 

 尚巴志ハーフマラソンと3キロの申込者全員に大会記念Tシャツ=写真=が贈られる。尚巴志ハーフマラソンは県内で初めてカラーTシャツを導入した大会で、当時は県外の大会でも「珍しい」と言われた。

 今年も色はおなじみのブラック。背面に竜の絵と合わせて「THE PREMIER EVENT OF RYUKYU」(ザ・プレミア・イベント・オブ・リュウキュウ)と表記し、沖縄の歴史と文化を発信した県内初のマラソンイベントの意味合いを示した。中央には20回記念大会の「20th」を入れている。

大交流祭を開催

正午~午後8時 抽選会や花火も

 20回記念大会の今年は正午から午後8時まで、交流イベント「尚巴志大交流祭」がユインチホテル南城駐車場で開かれる。

 正午から出店やキッチンカーがオープン。午後2~4時の第1部交流会では、ランニングの魅力を発信する人気インフルエンサーの三津家貴也さんのトークショーや、同市のPRコーナーなどがある。

 午後5~8時の第2部後夜祭では、空手演武や同市地域芸能、琉球民謡、シンガー・ソングライターの奏絵スペシャルライブがステージを彩る。同8時には打ち上げ花火がある。

 大会参加者特典の大抽選会では、旅行券や同市特産品、同ホテルランチチケットなどが当たる。

路線バス 運行時間や終点変更 

■東陽バス

 大会当日、東陽バスは338番(斎場御嶽線)上下線を始発から全便運休する。37番(那覇新開線)と191.391番(城間線)で運行時間や終点に変更の影響がある。38番(志喜屋線)上下線は通常運行。問い合わせは次の通り。37番=東陽バス那覇営業所098(867)2313。191.391番=同馬天営業所098(947)1007。

■沖縄バス

 39番(南城線)は、午前8時45分豊見城営業所発と同10時45分発南城市役所発の折り返しバス停を「南板良敷」に変更。市役所-馬天のバス停は利用不可。問い合わせは沖縄バス本社、098(862)6737。

■Nバス

 南城市が運行する「Nバス」は、始発から午後0時台までの便を運休。午後1時台に市役所を出発する便から再開する。問い合わせは沖縄バス南城出張所Nバス、098(963)5727。

交通規制ご協力のお願い

 5日の尚巴志ハーフマラソン開催に伴い、コースの南城市で交通規制がありますので、皆さまのご協力をお願いします。

 コースは片側一方通行。ただし、スタート周辺は午前8時10分から同9時20分まで両側規制、同9時20分から午後0時半まで片側規制。ゴール周辺は午前8時10分から午後0時半まで両側規制。新里坂は午前9時10分から同10時10分まで両側規制を行う。

 ※交通規制は最後尾のパトカーが通過次第、解除します。

 ※指定駐車場は南城市役所隣の同市公共駐車場。新里坂から同市公共駐車場への進入は不可。

[ことば]

 尚巴志(しょう・はし) 南城市佐敷出身で第一尚氏王統第2代の王。1372年に誕生し、佐敷を拠点に1406年に中山、16年に北山、29年に南山を滅ぼして沖縄初の統一王朝を築いた。39年没。同市では郷土の偉人を活用した人材育成を進めている。

大会日程 11月5日(日)

午前5時15分 南城市役所隣の同市公共駐車場オープン

午前5時半   駐車場発会場行きシャトルバス運行開始

午前7時半   駐車場発会場行きシャトルバス最終

午前8時10分 交通規制開始

午前8時半   スタート地点へ移動開始

午前8時45分 開会式

午前9時    ハーフの部スタート(制限時刻午後0時15分)

午前9時半   3キロの部スタート(制限時刻午前10時)

午前11時   3キロの部表彰式

午前11時半  佐敷小発駐車場行きシャトルバス運行開始

正午      ハーフの部表彰式、尚巴志大交流祭開始(ユインチホテル南城駐車場)

午後0時半   交通規制解除

午後2時半   佐敷小発駐車場行きシャトルバス最終

午後8時    尚巴志大交流祭終了

 

主催 尚巴志ハーフマラソンin南城市大会実行委員会、同市、同市体育協会

共催 沖縄タイムス社、琉球放送

主管 スポーツツーリズム沖縄

協力 県ランナーズクラブ連合会

特別協力 NAHAマラソン協会

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