3号車Niterra Zの先行を許すも、36号車au陣営「これ以上ない結果」と前向き。一時はQ1落ちの危機

 モビリティリゾートもてぎを舞台に開催中の2023スーパーGT第8戦。GT500の公式予選では、Niterra MOTUL Zがポールポジションを獲得し、逆転チャンピオンに向けて1ポイント近づいたが、ランキング首位のau TOM’S GR Supraも3番手につけた。36号車としてはライバルに先行される結果となったが、ドライバー、エンジニアともに「これ以上ない結果」と、3番手の予選結果を前向きに捉えていた。

 午前の公式練習の走り出しではクルマに良い感触を得られていなかったという36号車。セッション途中で問題点が見つかると、セットアップも良い方向に進み、専有走行では1分37秒194で3番手につけた。

 今回のQ1を担当した宮田莉朋はフリー走行で感触が良くなかった走り出しの時しか経験していなかったこともあり、「『Q1通れるかな』と不安でいっぱいでした」と、振り返る。それでも、「チームが『僕が落ちたら、誰でも落ちる』みたいなことを言ってくれて、それで吹っ切れることができました。Q1に向けていろいろセットアップを考えて臨むことができました」と、5番手でQ2進出を果たした。

 続くQ2では、坪井が1分36秒214をマーク。3号車にポールポジションを奪われたが、その背後につける3番グリッドを手にした。

「朝のフリー走行を見ていれば、ある程度予想の範囲内だと思います。逆に僕たちが3番手というのがビックニュースという感じです。3号車がポールというのは、フリー走行・Q1と見ていると、誰も追いつける雰囲気ではなかったので、ポールを獲られてしまうだろうなと思っていました」と坪井。

「だからこそ、僕たちはひとつでも前のグリッドにいなければいけなかった。3号車にポールを獲られてしまったら、僕たちは近いポジションに行かないといけない。その状況でたとえばQ1落ちとかすると、とんでもなく大変なことになってしまうぞと。その点ではプレッシャーもありました」

 その中で、3番手につけられたというのは“これ以上ない結果”だという。

「今の実力だと、これが精一杯なので、GRスープラ×ブリヂストン×もてぎのパッケージで、やれるべきことを全てやれた結果が3位だと思うので、そこに関しては良かったのかなと思います。今朝は本当にQ1も通れるか分からない状況だったことを考えると、これ以上ない結果を得られたのではないかなと。ライバルは目の前にいる状態で、彼らを抜けばチャンピオンになれます」と坪井。

 そして、決勝に向けて坪井は「前に2台しかいない状況ですし、中団にいないから(アクシデントに)巻き込まれることもないです。そういった意味では純粋に前の2台を追いかけるだけかなと思っています。優勝のチャンスはありますし、しっかり優勝だけを目指して頑張りたいと思います」と力強く語り、明日の大一番に向けて気合いが入っている様子だった。

 36号車を担当する吉武聡エンジニアも、3番手スタートを前向きに捉えている様子。「2列目でスタートできるというのはポジティブなことですし、決勝を考えたら前に出ることもできると思っています。上出来だと思います」と予選を振り返った。

 ただ、今日の時点で3号車に対して約0.6秒の差がついているのは事実で、「正直、あのタイムは見えなかったです」と吉武エンジニア。

「ストレートスピードが違うし、もてぎの特性を考えるとコース上で抜くのは難しいと思います。あとは、ピットで前に出るような戦略を考えられればいいなと思います。スタートで2位になって、ピットで逆転というのが理想です」と、早くも頭の中で策を練っていた。

 吉武エンジニアも、決勝レースでは「勝ちに行く」と明言。「向こうも勝ちに来ると思うので、勝ちに行かないといけないです。3号車の逆転を狙いにいって、その結果2位になるのではればしょうがないのかなと思います。それくらいの勢いでいかないとダメかなと思っています」と、気を引き締めていた。

 毎回、決勝で強さを見せる36号車が、3号車を相手にどのようなレース運びをみせるか。目が離せない。

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