青森県八戸市の駅弁製造・販売業「吉田屋」(吉田広城社長)の駅弁による集団食中毒で、八戸市保健所は4日、「再発防止に向けた改善が認められた」として、同社の営業禁止処分を同日付で解除したと発表した。食中毒の患者数は29都道府県の554人に増加したことも判明。吉田社長は東奥日報の取材に対し、6日から八戸など3駅で駅弁の販売を再開すると明らかにした。
食中毒は9月16、17日に全国のスーパーなどで販売された同社の駅弁で発生。同保健所は同23日に営業禁止処分を出した。10月30日に同社は衛生改善報告書を同保健所に提出し、同保健所は11月1日に立ち入り検査を行い、改善内容を確認した。
4日は同保健所の工藤雅庸所長と石井敦子副所長兼衛生課長らが市総合保健センターで会見した。
食中毒の原因について同保健所は、吉田屋が岩手県の業者に製造を委託した米飯の温度が注文時の指示より高く、予定していなかった冷却作業が必要となり、冷えるまでに原因となった黄色ブドウ球菌とセレウス菌が増殖した可能性があると推定していた。
これに対し同社は委託米飯の受け入れ手順や検査項目を新たに定め、基準を満たしていない米飯は返品すると規定。また、予定外の作業が発生しないよう過剰な受注を防止するための手順を定めたほか、販売店までの連絡網を作成し、休日でも確実に連絡が取れるなどの改善を行った。
会見で石井副所長は「立ち入り検査の結果、報告書通りに従業員が十分に実行できると判断した」と述べた。患者数の増加は、他の自治体からの連絡の一部に漏れがあったことなどが判明したためと説明した。
9月17日から営業を自粛していた吉田屋は、行政処分解除を受け、6日に八戸、新青森、盛岡の3駅で駅弁を販売する。複数の商社を通じて全国の小売店で販売されたことが今回の食中毒拡大の一因となったが、全国展開の再開時期について吉田社長は取材に「まだ決まっていない」と答えた。