ウインターカップ県予選 女子 試合を支配した明豊が8年ぶりの優勝 【大分県】

第76回全国高校選手権(ウインターカップ)県予選

10月29日 レゾナック武道スポーツセンター

女子決勝

明豊77(28-17、10-11、17-17、22-15)60大分

見えない絆があった―。下級生主体で臨んだ明豊は、決勝の先発メンバー5人に2年生が名を連ねた。決勝前夜のミーティングでキャプテンの坂本叶(3年)は「下級生は3年生の思いを背負わなくていい。楽しんでほしい」と伝えた。末永瑠奈(2年)は「3年生のために絶対に全国に行く。それはコートに立ったメンバーだけでなく、1、2年生全員の思いだった」と明かす。

序盤は両チームとも緊張からボールが手につかずミスが多かったが、末永が積極的なドライブを仕掛けチームに勢いをもたらすと、永原琉衣(同)はゴール下で得点を重ねた。第1クオーター(Q)途中に相手エースが連続得点を決めると、成長著しい中島綾香(1年)をコートに送る。杉山真裕実監督は「流れを渡したくなかった。中島は準決勝の藤蔭戦でも相手のエースを抑えてくれた。ファウルを恐れず、自分の力を出し切るように伝えた」と交代のカードを切った。采配は第3Qでも冴えた。この試合で最も点差が縮まった時間帯にタイムアウトを取り、「ここが踏ん張りどころ。ひと桁のリードなんてないようなもの。ここで力を出し切れなかったら後悔するぞ」と選手を鼓舞し、戦う姿勢を求めた。

ゴール下で存在感を示した永原琉衣

2年間県内無敗の大分には、何度も苦汁を飲まされてきた過去がある。タイムアウト明けの大事な時間帯でポイントガードの原田美優(2年)は守りに入らず、自らゴール下に切り込み3連続得点で流れを与えなかった。末永は冷静に相手のファウルを誘い、フリースローで点差を広げた。末永は「点差を詰められても焦りはなかった。過去に負けたことが一瞬頭をよぎったけど、今日の試合は負ける気がしなかった」と振り返る。

第4Qは一気に点差を広げ、最後は17点差をつけて勝利した。試合終了のブザーが響くと選手は喜びを爆発させた。中島は「まだまだ3年生と一緒にバスケができる」とうれし涙を流し、坂本は「まだ実感はないけどうれしい。チームが一つになって戦えた」と喜んだ。コートに立てば学年は関係ないが、互いに尊重しあい、勝つために努力してきた。結束力の高かった明豊が8年ぶりにウインターカップ出場を決めた。

積極的に得点を狙った末永瑠奈

喜びの声

坂本叶(3年)

優勝した実感がまだない。今年は2年生が主体のチームだが、3年生は精神面で支えることができたと思う。今大会は準決勝の藤蔭戦が山場だったが、いい形で勝てて決勝につながった。ウインターカップは後悔なく終われるように全てを出し尽くしたい。

末永瑠奈(2年)

とにかくうれしい。最高の気分。これまでの大会や練習試合はメンタルに波があり、思うようなプレーができなかったが、今大会は絶対的なエースになるんだという覚悟で臨んだ。自分自身、成長できたと思っている。ウインターカップは初めての大きな大会となるが、3年生のためにも一つでも多く勝って、一緒にバスケをしたい。

永原琉衣(2年)

勝ちたい気持ちがプレーに出せた。決勝前日のミーティングで自分たちの役割を明確にして、ブレずに戦おうと話した。これまで勝ったことのない大分を倒しての優勝は価値があると思う。ウインターカップに出ることで、3年生と一緒に練習できる時間がまだある。それがうれしい。

(柚野真也)

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