茨城労働局22年度 後絶たぬ長時間労働 違法残業245事業所 発注側に対応要請

水戸労基署が入る茨城労働総合庁舎=水戸市宮町

茨城県内で違法な時間外労働が後を絶たない。茨城労働局が2022年度に監督指導を行った608事業所のうち、違法な時間外労働を確認したのは商業や製造業、運輸交通業など計245事業所に上った。人手不足が背景にあるとみられる。23年4月には運輸、建設業などで時間外労働の上限規制が適用されることから、同労働局は発注側を含め対応を働きかける方針。

■背景に人手不足

同労働局によると、違法な時間外労働が確認された事業所は全体の40.3%に上り、前年度の30.6%(171事業所)から大幅に増加。81事業所で月80時間を超える時間外・休日労働が認められ、中には多い月で200時間を超えていた事業所もあった。

同労働局が立ち入り調査した建設業者では、現場管理に当たる技術者について、最長で1カ月当たり185時間の時間外労働を確認。民間業者から発注された工期が短かったことが要因という。また、医療関連製品を扱う事業所でも、工程の担当者に同150時間の違法な時間外・休日労働を確認。新型コロナウイルス感染拡大に伴う受注増に対応するためとみられる。この事業所では、担当者に年5日以上の有給休暇も取得させていなかった。

労働時間に関する違反があった245事業所の業種別では、商業が63で最多、製造業は51、運輸交通業は30だった。

同労働局はこのほか、488事業所で賃金不払い残業などを含めた関係法令違反を確認したという。

働き方改革の一環で18年に成立した改正労働基準法では、時間外労働に関する労使協定(36協定)について労働時間の上限を設定。制定以来初めて、違反した場合の罰則(6カ月以下の懲役か30万円以下の罰金)も導入した。

24年4月には、時間外労働の上限規制が猶予されていた建設業と運輸・運送など自動車運転業、医師の計3業種でも適用される。

中でも、人材不足などに伴う「2024問題」への対応が叫ばれる物流業界に対し、同労働局は事業主などに働き方の見直しを求めるとともに、荷主側にも対応を要請。同労働局監督課は「残業の規制を説明し、上限規制、拘束時間を守れるような契約をするよう個別に働きかける」としている。

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