僚友のピットロスで終盤に逆転「勝てるとは思わなかった」WRT41号車がLMP2最後の王者に/WEC最終戦

 11月4日に行われたWEC世界耐久選手権第8戦バーレーン8時間レースのLMP2クラスを制したチームWRT41号車オレカ07・ギブソンのルイ・デレトラズは、チームにとって厳しいレースウイークをスタートさせた後はLMP2のタイトル確保に焦点を当てており、レースで優勝を飾ることは予期していなかった、という。

 デレトラズとロバート・クビサ、ルイ・アンドラーデのトリオは、ランキングリーダーとして最終戦に臨み、8位以上でフィニッシュを果たせば、WEC・LMP2クラスにおける最後のチャンピオンになることが可能だった。

 しかし木曜日から金曜日にかけて行われたプラクティスではペースに苦しみ、11台中10番手からレースをスタートさせていた。

「ここ数年、ここバーレーンではWRTがかなり優勢であることは分かっていたが、FP1からFP2、FP3から予選までの週末を通して、タイヤの空気圧と最小限のキャンバー角を規定する新しいレギュレーションは、間違いなくその対象外だったと思う」とデレトラズは語った。

「レースに向けて大きな変更を加えたところ、僕らには競争力があり、とてもうまくやることができた。ふたりのチームメイトは素晴らしかった」

「勝つことは予想外だったけど、僕らはそれを受け入れるよ」

 姉妹車である31号車ロビン・フラインスは、ホイールガンの問題によって最終ピットストップに時間を要した。これによりデレトラズが首位に立ち、今季3度目のクラス優勝へと突き進んだ。

「僕らと同じように、彼らも勝利に値するレースだったので残念に思う」とデレトラズ。

「それよりも前、ロバートがシートベルトのひとつを挿入できず、ピットで8秒をロスするという問題があった。それを待ったせいで、ピットストップに時間がかかったんだ」

「最終的には、(タイトルを獲ることで)埋め合わせはできた。だが、彼ら(31号車)に何かを望みはしない。彼らは勝利に値したんだ。彼らは厳しい一年を過ごしたが、全員が良い仕事をした」

「もちろん、僕らはこの結果を受け入れる。それがレースだ。彼らはそれを理解していると思う。だが、それでもWRTにとっては素晴らしいワン・ツーだ」

 これでWRTは、新型コロナウイルスのパンデミックの影響を受けた2021年シーズンに代替ラウンドとなった6時間レースから始まる、バーレーン4連勝を遂げた。

2023年WEC第7戦バーレーンを制し、同時にLMP2タイトルも決めたチームWRTの41号車

 デレトラズは、シートベルトの問題を除けば、レースの残りの部分は41号車のクルーにとって「かなり順調だった」と語った。

「僕らはただ、トラブルを避けたかった」と彼は言う。

「10番手スタートは理想的ではなかった。昨日の僕の成績は悪かったが、ルイ(・アンドラーデ)は素晴らしい仕事をした。彼はあらゆるトラブルを避けてくれた」」

「その後はとてもスムーズだった。僕らは特別なことは何もせず、ただ実行し、良い戦略を立てただけだ」

「他のライバルと比べて、違いを生んだのは燃料を節約できたことだと思う。僕らは燃料を節約し、後続も見なかったので、最後には全員が燃焼スプラッシュをしなければならなかった。それが主な違いだった」

最終盤までLMP2クラスをリードしていたチームWRTの31号車

 ヨーロピアン・ル・マン・シリーズのLMP2クラスで2度チャンピオンになったデレトラズは、初の世界選手権タイトル獲得となった。デレトラズは「素晴らしい」気分だと認める。

「これはとても重要なことだ」と彼は言った。

「これは僕にとって大きな意味がある。昨年、僕はELMSのタイトルを取り、またIMSA(ウェザーテック・スポーツカー選手権)のLMP2では、1レース出場できなかったので僕自身はチャンピオンシップを獲得できなかったものの、チームとしてタワー(・モータースポーツ)とともにシリーズを制すことができた」

「今年はWECの(LMP2)タイトルを獲れる最後のチャンスだったので、世界王者になることはとても素晴らしいことだ。僕らはそのために一年中働いてきたんだ。素晴らしいシーズンを過ごしたよ」

「WRTとともに、WECをこのような形で終えることができたのは素晴らしい。僕はLMP2が大好きなんだ」

 なお、デレトラズは2024年、IMSAの最高峰GTPクラスでウェイン・テイラー・レーシング・ウィズ・アンドレッティ・オートスポートのアキュラARX-06をドライブする。

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