2024年のスーパーGTは4つのフォーマットを検討。GTA坂東正明代表、GT300への50%合成燃料の導入など来季構想を語る

 スーパーGT最終戦、第8戦モビリティリゾートもてぎで行われた今季最後のGTアソシエイション(GTA)の定例会議にて、坂東正明GTA代表が来季の総括とともに、来季2024年スーパーGTのレースフォーマットの新規導入やタイヤセット数、GT300への合成燃料の導入などの構想を明らかにした。

 今季、GT500クラスでは化石燃料を使用していないCNF(カーボンニュートラル・フューエル)GTA-R100を導入して、環境へのアピールを明確化したスーパーGT。坂東代表はまず、今季について語った。

 「テーマとして環境1年目として取り組むというところで、できることから手をつけていく。結果としてGT500は化石燃料を一切使わない合成燃料を使ってレースをすることができた。タイヤについても、『グリップよりも長持ちするタイヤ』というところで1セットの持ち込みタイヤ本数を減らすことで環境に配慮することができた。すべてが正解かどうかはまだわからない状況下だが、将来を見つめたモータースポーツのあり方を 我々GTAとして独自の手法でやっていかないといけないという1年目だった」と、今季のスーパーGTでの活動を総括。

 そして、クラッシュやレース後の車検での失格などアクシデントが多かったことにも触れた。

「今年はいくつかのインシデントがあった。安全性に関しては、やはりドライバーの『〜〜だろう運転』の部分が大きいと思うが、プロフェッショナル化であったり、我々がやっていることはもう世界のツーリングカーのトップのカテゴリーとして、そのレベル感で安全性の面でもさまざまなクオリティを上げていかないといけない」

「速さの抑制が安全性につながるのかという論議を含めて、空力抑制などGTAのテクニカル部会、作業部会で安全性向上につながるものを作っていかないといけない。しかし、GT300のGT3に関しては他のワンメイクカテゴリーは車高も揃えやすいが、GT300はタイヤをコンペでやっている以上、いろいろ数字を揃えるというのは難しい。SRO(欧州でGT3,GT4の規定や基準を作るステファン・ラテル・オーガニゼーション)にも回答を求めているが、チームにもアンケートを行っていきたい」と振り返った。

 会見では2024年に向けての方向性にも触れ、レースフォーマットとしては今季の300kmレース3戦、450kmレース5戦の組み合わせからの変更を示唆した。

「今年は450kmのロングのレースを5戦することで、タイヤの距離数や使い方がどう変わってくるのかオートポリスでも実施することができた。来季の構想だが、300km、450mレースに加えて300マイル、そして時間レース、この4つの組み合わせで来季のフォーマットを考えている」と坂東代表。

 時間レースとしては「たぶん3時間になると思う。安全性の確認を取りながら、オーガナイザー(サーキット)と話をしながら進めていきたい」と坂東代表。シーズン2度目の鈴鹿や富士開催などで時間制限のレースフォーマットの変更が検討されている模様だ。

 また、GT500、GT300ともにレースで使用できるタイヤセット数を300kmレースでは今季のドライタイヤ最大5セット(300km以上のレースではさらに1セット追加)から、最大4セットに1セット減となる方向で進められている。

「将来的には2030年までに再生材料40〜45パーセント配合した環境に配慮したタイヤを使用する方向で考えている。再生材料の基準値がどういうところにあって、どうチェックするのかなどは難しい部分があるが、その方向性のものを使いながらやっていく。成功するもの、失敗するものがあると思うが、ひとつひとつ環境に対するものを考えながらレースを面白く見せる方法論を試していきたい」と坂東代表。

 タイヤの本数を削減する一方、今後のタイヤ開発について、坂東代表はタイヤメーカー側に「ワイドレンジのタイヤを作ってもらうよう要請している」と要請していることを明かす。

「温度領域、摩擦係数のキャパシティを広くしてもらうというワイドレンジ。尚且つ保たせる。その部分でタイヤメーカーにはクオリティを上げてほしいというお願いをしている。その方向性には合意を頂いて進んでいる」と坂東代表。
 
 さらに来季はGT300では導入しきれなかったCNFを50パーセント配合したGTA-R50を導入し、GT300クラスも環境に配慮したシリーズとすることを明言した。

「基本的には50パーセントなので、GT300のマシンでも俺の中では大丈夫、と思っている」と坂東代表。

 今回の最終戦モビリティリゾートもてぎの翌日にGT300専有のテスト日が設けられる。テストでは1台に300リットルが与えられ、今のところ6台の参加が予定されているという。このテストの観戦は可能とのことなので、平日ではあるがサーキットで貴重なテストを見ることができる機会になる。

2023年スーパーGT第8戦もてぎGTA会見 坂東正明代表

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