長江文明の世界遺産登録を目指す 繁栄の痕跡、異形の仮面も

中国四川省の金沙遺跡博物館で展示されている、出土した金の仮面=5月(共同)

 中国が、黄河文明と同様に長江(揚子江)流域にも発達した文明があったことを示す2カ所の古代遺跡について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産への一括登録を目指している。紀元前に栄えた文明を伝える遺跡からは、異形の仮面も出土。中国の世界遺産登録数は首位のイタリアに肉薄しており、逆転も視野に入れる。

 世界遺産登録を目指すのは四川省の三星堆遺跡と金沙遺跡。2021年にタッグを組む協定も結んだ。四川地方では多様な文明を示す遺跡発掘が続いており、古代中国の解明につながることが期待されている。

 金の仮面、巨大な立像、太陽と鳥の図案の装飾―。両遺跡からは、祭祀に関する文物が多く見つかった。造形や文様が似た出土品が多い。両遺跡と同省成都にある古代合葬地は、世界遺産の国内候補の「暫定リスト」に「古蜀文明遺跡」として一括記載されている。

 三星堆の発掘にも関わった成都金沙遺跡博物館の朱章義館長は「遺跡保護には自信がある。時間はかかるが、世界遺産登録されると信じている」と語る。

三星堆遺跡の発掘現場=2022年7月、中国四川省広漢(共同)

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