神奈川の丹沢でもクマ目撃情報が増加 専門家「冬眠前に餌探す11月は要注意」

クマの出没注意を呼び掛ける看板=10月27日、秦野市東田原

 東北や北陸地方で野生のクマによる被害が相次いでいるが、神奈川県の丹沢山塊でも生息するクマの目撃情報が数を増している。人的被害の報告はないものの、秦野、伊勢原市では昨年を上回るペースで目撃されており、登山や秋の行楽シーズンを迎え、周辺自治体も気をもんでいる。専門家も「冬眠する前に餌を探す11月は要注意」と呼びかけている。

 昨年度、秦野市では11月以降での目撃や痕跡が5件だったが本年度は10月30日時点ですでに4件を確認している。7月には人里近い東田原地区で目撃され、擁壁をよじ登ろうとした爪跡も残っていたため、注意喚起を促す看板を設置した。10月27日の定例会見では高橋昌和市長が「丹沢国定公園内に40頭いるといわれているツキノワグマ。ラジオや熊よけの鈴を携行し、出没の多い朝夕は単独行動を避けてほしい」と呼びかけた。市教育委員会では通学する児童・生徒の安全のため鈴を用意しているが、まだ貸し出しなどはないという。

 隣接する伊勢原市でも昨年同期比で2件多い12件が寄せられている。人里近くでの目撃情報が目立ち、担当者は「柿の木を目指して出没している傾向がある。市民から発見場所の問い合わせも寄せられている」と話す。

 丹沢の東西に位置し、ともに山林が大半を占める清川村と山北町では目撃件数は例年並み(清川3件、山北9件)に落ち着いている。それでも「村内で19件と目撃情報が突出した2019年度はドングリが凶作だった。今年も凶作と聞く」(清川村担当者)、「冬眠に入る前の11月が(目撃の)ピーク」(山北町担当者)と警戒を緩めていない。

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