性被害防止へ SNS巡回 茨城県警、注意喚起 未成年へ直接送信

家出したという児童のSNSアカウントに注意を呼びかける県警のメッセージ(画像の一部を加工しています)

茨城県警が、交流サイト(SNS)を通して犯罪被害を受ける可能性がある少年少女らのアカウントに直接メッセージを送る取り組みを進めている。SNSをきっかけに性被害に遭う少年少女が相次いでいるためで、サイバーパトロールで日々「巡回」。メッセージを送った回数は今年1~8月で1700回超に上った。

同パトロールは2020年にスタート。「家出」「パパ活」などの書き込みを検索し、該当者には県警人身安全少年課の公式アカウントから「性犯罪や誘拐などの事件に巻き込まれる危険があります」などの注意喚起と、相談窓口のURLを添えたメッセージをコメント欄へ送っている。

これまでは、不適切な書き込みをした少年少女とSNS上で連絡を取り、直接面会する手法だったが、途中で返信が途絶えることも少なくなかった。

家出した少年少女を誘い出したり、わいせつな画像を募集したりする投稿者に対しても「児童ポルノ画像を売ることや送ることは犯罪です」などと警告。今年1~8月の注意喚起と警告は計1756件に上った。

12月に水戸市で開催されるG7水戸内務・安全担当相会合では、「児童の性的搾取」がテーマの一つとして議論される。オンラインを利用した性被害が相次いでいることから、県警はSNSを通した呼びかけを強める。

同課によると、県内でSNSをきっかけに犯罪被害に遭った18歳未満の少年少女は9月末現在で25人。このうち児童買春・児童ポルノ禁止法違反と県青少年育成条例違反の被害がそれぞれ10人。また、未成年者誘拐で4人、強制性交で1人の被害があった。ほとんどのケースで性被害を伴ったという。

県警はサイバーパトロールに加え、小中高校などで「非行防止教室」も開催。SNSで知り合った人と会ったり写真を送ったりしないよう呼びかけを続ける。今年1~8月に608回実施し、受講者数は9万人を超えたという。

性被害の相談はいばらき被害者支援センター(水戸市)にも寄せられている。「性暴力被害者サポートネットワーク茨城」を通じて寄せられた相談件数は504件(9月末現在)と過去最多ペース。相談者には成人も含まれるものの、同センターによると、少年少女の保護者から「娘がSNSで写真を送ってしまった」との相談が目立つという。

同センターは、被害防止について「周囲の大人が子どもの小さな変化に気付いてあげることが重要だ」としている。

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