「高リスク者守る対策を」 インフル流行、ワクチン接種遅れぬように 長崎大学病院・森内教授

「重症化リスクが高い人を守っていくことが重要」と語る森内教授=長崎市坂本1丁目、長崎大学病院

 インフルエンザが例年より2、3カ月早く流行期を迎えている。コロナ禍の影響で集団免疫が落ちたことなどが要因と考えられるという。ワクチン接種やマスク着用などの対策に加え、新型コロナウイルス感染症の今冬の流行などについて感染症に詳しい長崎大学病院の森内浩幸教授に聞いた。

 -インフルエンザへの備えは。
 新型コロナも同じだが、リスクの高い人へのワクチン接種は遅れない方がいい。早く打ちすぎると「効果が薄れる」と心配する人もいる。だが、接種前に感染したら、よりリスクは高い。流行の気配がない状況ならともかく、今はいつ感染しても不思議ではない。高齢者や基礎疾患を持っている人、妊婦さんは予約が取れたらすぐに打った方がいい。

 -リスクの高い具体的な疾患は。
 慢性の肺の病気や心臓の病気、腎不全、高度の糖尿病など。メタボ(メタボリック症候群)な人もリスクは高い。

 -5類移行から約6カ月。マスクを着用している人が減った。
 着用するかしないかは個人の判断を尊重することが大事。その上で感染したら重症化する人を守るという視点が重要だ。私がマスクをしているのは病院にはリスクの高い人がいるから。本人はリスクが高くなくても高齢者や基礎疾患がある人と同居している家族がいるかもしれないし、花粉症予防で着用しているのかもしれない。屋外では、よほど密集、密接していない限り着用しなくていいと思う。

 -インフルエンザは10代以下の感染者が多く、学級閉鎖などが相次いでいる。
 診断を確定させ、必要とされる日数を休み、感染を広げないことは重要。ただ、夜間や休日診療に押し寄せるのはやめてほしい。新型コロナが5類に移行する前、診断確定のために医療機関に人が押し寄せ、急性脳症の子どもの診療に影響が出た事例が報告されている。そもそも抗原検査の場合、発症してすぐに陽性は出にくい。

 -この冬も新型コロナは流行するか。
 規模がどれくらいになるのかを言うのは難しいが、冬場の流行はあると思う。ただ、十分ではないが集団免疫ができつつあるので以前のような勢いで流行の波が訪れるようなことにはなりにくいのではないか。大切なのは体調が悪くなった際にかかりつけ医で検査ができ、感染の影響で持病が悪化しないような対応ができるかどうかということだ。

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