長崎県内インフル 早くも流行 コロナ禍影響 専門家「集団免疫落ちている」

 新型コロナウイルス感染症が法律上の5類に引き下げられて8日で半年を迎える。感染者数は9月中旬から減少傾向で、夏場から続いていた流行はいったん収まっているが、インフルエンザが例年よりも大幅に早い流行期を迎えている。感染症に詳しい長崎大学病院の森内浩幸教授は、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)の間の感染予防対策で「病原体に対する集団免疫が落ちたことが要因の一つではないか」と話す。
 長崎県は県内70の医療機関でインフルエンザ流行を定点観測。1医療機関当たりの感染者数(報告数)が週に10人を超えると注意報、30人を超えると警報が発令される。2020年以降で新型コロナが2類相当の間、インフルエンザはほとんど流行せず、過去10年では注意報の基準を最初に超えた時期は12月以降となっている。
 だが、今季は初めての注意報が10月5日に出た。県によると、07年以降の確認できる範囲で最も早い発令という。感染拡大は続いており、最近1週間(10月23~29日)の報告数は19.27人で前週から約1.5倍に増えた。
 森内教授は感染症が拡大するかどうかの主な要因として▽気温や湿度などの気象条件▽社会全体や集団の中にその病気に対する免疫ができているか-を挙げる。
 コロナパンデミックで20年以降、社会全体が感染予防対策に取り組み、海外を含めた人と人の交流、接触機会を減らした。こうした状況について森内教授は「感染症の原因となる病原体に対する集団免疫が落ちていることが考えられる。流行が広がりやすくもなるし、これまで流行していないような季節でも感染が広がることがある」と述べた。
 今季のイレギュラーな状態について「将来的には戻るはず。ただ今季の流行を境にコロナ禍前に戻るのか、まだ微妙にずれながら落ち着いていくのかは予測がつかない」と語った。

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