弱冠17歳、“期待の逸材”がトヨタGR010ハイブリッドを初ドライブ「楽しむことができた」/WECルーキーテスト

 弱冠17歳のアメリカ人ドライバー、ジョシュ・ピアソンが、11月5日にバーレーン・インターナショナル・サーキットで行われたWEC世界耐久選手権の『ルーキーテスト』で、トヨタGR010ハイブリッドを初ドライブした。

 2022年、ユナイテッド・オートスポーツからWECのLMP2クラスにデビューしたピアソンは、その初戦となる第1戦セブリング1000マイルレースでいきなりクラス優勝。16歳1カ月と4日、史上最年少記録での初勝利という衝撃のデビューを飾った逸材だ。

 同年のル・マン24時間では、同レースにおける最年少出場記録も更新したピアソンは、2023年シーズンもユナイテッドの23号車でWECにフルエントリー。開幕戦セブリングではトップ走行中に車載カメラの固定が緩んでキルスイッチを直撃するという悲運を味わいながらも、翌第2戦ポルティマオではオリバー・ジャービス、ギド・バン・デル・ガルデとともにクラス優勝を果たしている。

 そんなピアソンは今回、WECの推薦を受けてルーキーテストでトヨタGR010ハイブリッドをドライブする機会を与えられた。

 これは「WEC/ELMS(ヨーロピアン・ル・マン・シリーズ)を通して模範的なパフォーマンス、レーススキル、コミットメントを示した」ドライバーを、WECおよび共同プロモーターであるACOフランス西部自動車クラブが選抜し、各クラスのチャンピオンマシンで最低30周ドライブする機会を与えるというもの。

 ピアソンは10月、ドイツ・ケルンに位置するTGR-E(トヨタ・ガズー・レーシング・ヨーロッパ)で、シミュレーターのセッションをこなし、ハイパーカー初ドライブに備えてきた。

テストに出走した4名のドライバーネームが入れられたトヨタGR010ハイブリッド

■印象的だった加速とブレーキング。チームは「まったく別のレベル」

 テスト前日の11月4日、WEC最終戦バーレーンをクラス8位でフィニッシュし、LMP2ドライバーランキング5位で2023シーズンを終えたピアソンは、翌5日、サーキットでTGRに合流した。

 午前の2時間のセッション冒頭で、他の参加ドライバーと同様に1周のアウト/インの確認ラップを行ったピアソンは、その後10周の連続走行をこなした。ここでのベストタイムは1分52秒047。

 午後の3時間のセッションでは序盤に10周、中盤に11周を走行。1分51秒085までタイムを縮めた。なお、このテスト全体での最速はフェラーリ499Pで出走したロバート・シュワルツマンの1分48秒599。ハイパーカークラスでタイムを残した21人のドライバーのうち、ピアソンは16番手となった。

トヨタGAZOO Racingからルーキーテストに参加したジョシュ・ピアソン
WECルーキーテストでバーレーン・インターナショナル・サーキットを走行する7号車トヨタGR010ハイブリッド

 テストを終えたピアソンは、TGRのチームリリースを通じ、以下のコメントを発表している。

「GR010ハイブリッドは本当に運転が楽しい車で、素晴らしいです」

「ハイブリッドシステムを搭載したクルマでレースを戦ったことはないので、これが私にとって初めての経験でしたが、楽しむことができました」

「最も印象的だったのはブレーキングと加速です。加えてダウンフォースも私がドライブしてきたLMP2カーよりもはるかに大きいです」

「私にとって、このテストは限界までプッシュすることではなく、ハイパーカーチームとの働き方を学ぶため(のもの)でした。私はレースキャリアをスタートしたばかりなので、世界チャンピオンを勝ち取ったハイパーカーチームのオペレーションを学び、彼らがどのようなプログラムで動いているのかを感じ取ることができた貴重な機会となりました。まったく別のレベルでした」

「チームの誰もが本当に親切で、一緒に仕事ができて良かったです」

トヨタのアドバイザー役を務めるアレックス・ブルツと話すジョシュ・ピアソン
WECルーキーテストでトヨタGR010ハイブリッドをドライブしたジョシュ・ピアソン

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