茨城・常陸大宮市が有機農業宣言 県内初、給食提供や販売増

オーガニックビレッジ宣言を行った常陸大宮市の鈴木定幸市長と有機野菜=同市中富町

茨城県常陸大宮市は5日、農薬や化学肥料を使わない有機農業を地域ぐるみで推進する「オーガニックビレッジ宣言」を行った。市によると、宣言は県内自治体で初めて。国のモデル地区として、有機農業の生産から消費まで一貫し、農家や事業者、住民を含めた取り組みを進める。学校給食で有機米や有機野菜を提供するなど、生産や販売を拡大させる。

鈴木定幸市長は市内で開いた有機農業関連のイベントの中で、「子どもたちに最高の学校給食を届けたいとの思いが始まり。安全安心な食を提供することは、人々の健康と持続可能な農業の振興に必ず貢献する。地域全体で取り組む」と宣言した。

市は2027年度まで5カ年の有機農業実施計画を策定した。有機農業の産物について、市内の飲食店や宿泊施設での提供のほか、加工品の開発や製造、大手スーパーへの出荷の促進などを目標に掲げている。新たな物流体制の構築や有機農産物の相互流通など、他市町村との連携にも取り組む。

学校給食では22年度から年数回、有機農産物を一部献立に使用している。有機米も同市鷹巣地区の水田で生産し、6日に提供を開始する。栽培規模を今後拡大し、27年度までに学校給食用の全てを有機米に切り替えたい考え。

市は21年度、有機農業推進計画を県内で初めて策定し、農薬や化学肥料に頼らない農業を推進してきた。地元のJA常陸、JA常陸アグリサポートなどが全面協力する。同市三美地区にモデル農地を設け、農家が根菜や葉物など有機野菜を生産している。

オーガニックビレッジ宣言は、農林水産省が支援する取り組み。これまでに栃木県小山市や千葉県佐倉市など全国91市町村が宣言している。同省の「みどりの食料システム戦略推進交付金」により、栽培技術の実証や販路開拓など、有機農業の拡大に向けた事業で支援を受ける。

農水省は生産から販売、消費まで、持続可能な食料システムとするため、農林水産業の生産力向上と環境負荷低減の両立を目指し、25年までに全国100市町村、30年までに200市町村での宣言を目標にしている。

鈴木市長は「宣言で取り組みを加速させたい」と話した。

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