日銀金沢支店、駅西で業務 香林坊から新店舗で

新店舗で営業を始めた日銀金沢支店=6日午前8時43分、金沢市広岡3丁目

 ●支店長「中央銀行の責務果たす」

 日銀金沢支店は6日、金沢市広岡3丁目の新店舗で営業を始めた。同日、関係者向けの内覧会が開かれ、北陸産材を随所に使った内装や、充実させた広報エリアが公開された。金沢支店の吉濱久悦支店長はあいさつで「香林坊の歴史を受け継ぎ、中央銀行としての責務果たしたい」と語り、新天地から北陸経済を下支えする。

  

 香林坊2丁目の旧支店の老朽化に伴って移転した。金沢駅から北西に約400メートルのJR西日本グループ社宅跡地で、地上3階建てで建設した。敷地面積5651平方メートル、延べ床面積6937平方メートルは、いずれも旧支店の1.3倍の広さとなる。免震構造で災害に備えて電力や通信などのバックアップを充実させた。総工費は約66億円。

 新支店には、地元産材や北陸のメーカーの製品をふんだんに使った。

 外観は金沢の街並みに調和するように黒瓦をイメージしたダークグレーのステンレスパネルを採用した。内装には、能登スギや能登ヒバのほか、戸室石、珪藻土(けいそうど)などを使用した。アルミサッシや間仕切りは北陸のメーカーの製品を使っている。

 本店や全国の支店で初めてとなる「放射空調設備」などの省エネ性能の高い設備を備える。見学者を受け入れる広報ルームはパネルなどを刷新した。金沢支店の敷地内には、旧支店のタブノキの種から育てた苗木が植えられた。

 日銀金沢支店は、1909(明治42)年に旧支店の場所で金沢出張所を開設したのが始まり。1911年に支店に改装された後、1954年8月に2代目となる旧店舗が建設された。施設や設備の老朽化に伴い、2019年4月に金沢駅西へ移転することを発表していた。

 6日、日銀金沢支店で記念式典が開かれ、日銀の内田眞一副総裁が「新店舗で地域の発展に尽くしたい」とあいさつし、吉濱支店長が新支店の特徴を説明した。

 馳浩知事、安宅建樹県商工会議所連合会会頭、金森敬北陸財務局長、杖村修司県銀行協会長、忠田秀敏県信用金庫協会長、細田正県警本部長が加わり、テープカットした。

 旧金沢支店跡地の売却は地元自治体との交渉が優先されるが、日銀は具体的な売却時期などは示していない。金沢市は今年度に懇話会を設置し、跡地活用策を検討する。

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