レッドブル&HRC密着:好ペースのノリスとのギャップ維持に集中。フェルスタッペン今季17勝目、年間勝率は8割超え

 F1第21戦サンパウロGP(ブラジルGP)の決勝レースで、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポール・トゥ・ウインを飾った。

「今年のブラジルはいい週末を送ることができた。今日のレースは全体を通していいペースだった。タイヤの消耗が激しかったので、タイヤを温存することが重要だった。(2番手にいた)ランド(・ノリス/マクラーレン)が素晴らしいスタートを切ったので、僕はとにかく序盤はポジションを守り、そのあとは逆転されないようギャップをキープしなければならなかった」

2023年F1第21戦サンパウロGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)&ランド・ノリス(マクラーレン)

 レース後、優勝したフェルスタッペンはそう語った。これで、フェルスタッペンは今シーズン17勝を挙げた。ウイニングランではレースエンジニアの“GP”ことジャンピエロ・ランビアーゼが無線で「私の計算が正しければ、1952年のアルベルト・アスカリの勝率を抜いた」と祝福したが、1952年のアスカリは7戦6勝で勝率8割5分7厘1毛(85.714286%)で、サンパウロGP終了時点でのフェルスタッペンは20戦17勝で8割5分0厘なので、まだ抜いてはいなかった。次のラスベガスGPで優勝すると21戦18勝で8割5分7厘1毛(85.714286%)となってアスカリに並び、最終戦に勝つと22戦19勝となって8割6分3厘(86.36363%)で抜く。

 その後、クリスチャン・ホーナー代表が「ラジオ・レッドブルからだ」と言って、曲を流して、フェルスタッペンに聴かせた。

 この歌は、アメリカのカントリー歌手であるジョニー・ダレルが1965年に発表した『グリーン、グリーン・グラス・オブ・ホーム』(邦題は『思い出のグリーングラス』)という楽曲だった。その歌を聴いたフェルスタッペンは、「僕は歌うのが上手じゃないから」とためらったが、少しだけ曲に合わせて歌い始めた。フェルスタッペンが歌ったパートは、2番だった。

The old house is still standing
あの古い家はまだ建っている

Though the paint is cracked and dry
ペンキは乾いて剥げ落ちてるけどね

 なぜ、レッドブルがこの歌を選曲したのかは謎だが、アメリカ大陸3連戦を終え、しばらく帰っていない故郷へ帰ろうという気持ちを、この歌で代弁しようとしたのかもしれない。フェルスタッペンもこう語る。

「長いトリプルヘッダーだったので、ラスベガスの準備の前に数日の休みを取るのが楽しみだ。今を楽しんでいるし、この成功を年末まで続けられることを願っている」

 しかし、この歌は執行を翌日に控えた死刑囚が、牢屋のなかで見た故郷の夢を描写したもので、3番では夢から覚め、看守に連れ出されて刑を執行され、土の中に眠るという歌詞となっている。

 連勝を続けていることが夢ではなく、現実のものとして、残り2戦も続くことを祈っている。

2023年F1第21戦サンパウロGP表彰式 マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2023年F1第21戦サンパウロGP 今シーズン17勝目を挙げたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)

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