オリヴィア・ロドリゴ、初来日時に語った2ndアルバムへのプレッシャー

ラジオDJ、ライナー執筆など幅広く活躍されている今泉圭姫子さんの連載「今泉圭姫子のThrow Back to the Future」の第77回。

今回は、2023年9月8日にセカンド・アルバム『GUTS』を発売したオリヴィア・ロドリゴ(Olivia Rodrigo)ついて、先日来日時のインタビュー中心に寄稿頂きました。

2021年、デビュー・シングル「drivers license」、そしてファースト・アルバム『SOUR』が全米、全英ナンバー・ワンを記録し、グラミー賞最優秀新人賞を含む3冠に輝いたオリヴィア・ロドリゴ。彼女のソロ・シンガーとしてのスタートは、誰もが羨むキャリアの第一歩となりました。

すでに『ハイスクール・ミュージカル:ザ・ミュージカル』のニニ役で、ティーンに絶大なる人気があった彼女ですが、女優として演じたニニのイメージを払拭し、見事にシンガー、オリヴィア・ロドリゴとしてのスタイルを築き上げたのです。

そんなオリヴィアが、2023年9月にセカンド・アルバム『GUTS』をリリース。デビューにして、数々の賞に輝き、世界中から注目を集めるまでのスターになった彼女は、どんな思いでセカンド・アルバムを制作したのでしょうか? 10代のオリヴィアが直面したプレッシャー。そして、そのプレッシャーを乗り越えて、素晴らしい作品を作り上げたことなど、9月に初来日した際に、聞くことができました。

2枚目のアルバムへのプレッシャー

「プレッシャーはありました。『SOUR』の成功は、自分でも予想外のことだったし、すごく嬉しかったけど、驚きでもありました。だから、セカンドを作るにあたって、周りの期待が高かったんです。自分の頭の中に、いろいろな声が聞こえてきて、初めのうちは、辛かったけど、考え方を変えて、自分がラジオで聞きたいと思う曲を書こう、好きだと思う曲を書こうって、純粋に思えるようになってからは、頭を切り替えて、曲作りがスムーズに進められたんです」

『SOUR』のリリースから『GUTS』までは、たった2年間。それも大ヒットしたことにより、ワールド・ツアー、数々の授賞式でのパフォーマンス、ファッション・イベント出演など、引っ張りだこのスケジュールの中での制作は、非常にタイトだったと推測します。その短期間の中で生まれた葛藤を、簡単に乗り越えることなどはできなかったはずでしょう。でもオリヴィアは、見事にその壁をぶち破り、新作を完成させました。

「ファースト・アルバムは17歳でリリースして、セカンドは20歳を目前とした制作になりました。自分の中で変化を見つけることができたと思います。17歳と20歳では人間としても全く違うし、年齢とともに自信もついてきました。直感を信じられるようになったことで、自分が伝えたいオリビア・ロドリゴのサウンド、歌詞を、自信を持って作れるようになったんです」

10代を振り返った曲

アルバム中最もエモーショナルな思いを託した作品についてはこう語る。

「アルバムの最後の曲“teenage dream”は、とても思い入れのある曲です。最初は作品作りに向き合うのに苦労しましたが、そんな時に最初にできたのがこの曲なんです。セカンドを作るプレッシャーを感じながら、自分の10代を振り返って、懐かしい気持ちになった思いを歌にしました。あの時の自分を象徴している作品です。きっと40代になって振り返った時に、自分の10代はこうだったって思える曲になったと思います」

最後にどんなシンガーを目指しているか、という質問に対しては、

「自分でも何を目指しているか、今は手探りで一歩一歩前に進んでいます。できれば、自分が作りたいアルバムを作り続け、進化し続けるアーティストになりたいです。曲作りも成長したい。いつか母になっても、アーティストとして活動していきたいです」

20歳のオリヴィアは、成功に流されることなく、自分の言葉をちゃんと持っていて、しっかりした考えの中で、発言しているのがわかります。もちろん、アーティストとして、まだまだ成長したいという未完の魅力こそが、今のオリヴィア・ロドリゴですが、作品ごとに新しいことに挑戦し、一つの形に収まらない姿を、これからも見せて欲しいと感じました。

日本滞在時は、大好きなラーメンを食べて、ショッピングして、カワイイ、オイシイ、という日本語を覚えて楽しんだようです。ツアーでの再来日が待ち遠しいです。

彼女のインタビューはFM yokohama「Radio HITS Radio」のPodcastにて聞くことができます

Written By 今泉圭姫子

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