「水位上げないでゼロにすれば?」道頓堀飛び込み防止策への指摘に大阪市が明かした“できない理由”

(写真:アフロ)

プロ野球・日本シリーズの第7戦が11月5日の夜、大阪市の京セラドーム大阪で行われ、阪神タイガースがオリックス・バファローズに7対1で勝利。対戦成績を4勝3敗とし、’85年以来となる38年ぶり2回目の日本一に輝いた。

今回の日本シリーズは59年ぶりの関西対決ということもあり、特に関西地区での注目度が高かったようだ。同地区での世帯平均視聴率は38.1%を記録。さらに瞬間最高視聴率は午後9時42分と同43分に50.0%という驚異的な数字を叩き出した(ビデオリサーチ調べ)。

また「スポーツ報知」によると、この日、阪神優勝を祝うため大阪の道頓堀には試合終盤から人が集合。優勝が決まると、道頓堀川に架かる戎橋は盛り上がった人々で大きく縦揺れ。そして、道頓堀川への飛び込みが相次いで行われたという。

「戎橋上は大阪府警が1300人規模で超厳戒態勢の警備を行い、いわゆるDJポリスが『飛び込むと命の危険につながります。水温も低くなっています』と呼びかけていました。が、最終的に30人以上がダイブしました」(スポーツ紙記者)

「戎橋など道頓堀川に架かる橋から川へ飛び込む行為などは、非常に危険です」と公式サイトなどで呼びかけている大阪市。同時に、阪神優勝に際し、万が一飛び込む人が出たとしてもケガをしないよう、道頓堀川の水位を上げていたという。しかし、この取り組みに対して、SNS上では「いっそ道頓堀川の水をゼロにしたほうが飛び込まなくなるのでは?」といった指摘も相次いだ。

《道頓堀ダイブ抑止案 水を止めるか支流へ避けさせて道頓堀が干上がれば良いのでは…》
《道頓堀ダイブしないように水を全部止めてすっからかんにしておくってのはどうだろ》
《道頓堀ダイブ?水位上げないでゼロにすればいいのに 水を失くせば…ね?》

■「水位をゼロにすることはできません」その理由は?

確かに“水位ゼロ”だと飛び込みはできなくなりそうだ。本誌は「大阪市 建設局道路河川部河川課」に取材を申し込むと、担当者は見解をこう明かした。

「道頓堀川の水をゼロにすることはできません。道頓堀川は東横堀川とくっついています。そして道頓堀川の西の端と、東横堀川の北側に水門がありますが、その二つの水門を閉め切っても中に水が残ってしまいます。もちろん、残った水を人工的に掻き出せば水をゼロにすることはできますが……。多大な労力がかかるのではと思います」

水位を上げるという“温情”を見せた大阪市。しかし、担当者は「基本的に迷惑行為はやめていただきたい」といい、こう続ける。

「今回水位を上げたのは、飛び込みの際の事故を防止するためにあえて行いました。逆に水位を下げてしまうと川底にぶつかるという危険性がありますから、あくまで飛び込まれたかたがケガをしないようにするための対応ということです。

水位を上げることで、弊害が起こったりコストがかかったりといったことは基本的にありません。もともと水門の開閉操作は船が通る際にも市の職員がしておりますし、特別なことではありません。しかし、飛び込みは危険なことですから控えてほしいと考えております」

大阪市の“マナーを守って優勝を喜んでほしい”という思いが、阪神ファンに届くよう願うばかりだ。

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