両親殺害の男に懲役30年求刑 検察「完全責任能力ある」 京都地裁公判

京都地裁

 京都市山科区大宅の民家で2021年10月、夫婦が殺害された事件で、殺人と道路運送車両法違反の罪に問われた、夫婦の長男で無職松井公宏被告(38)の裁判員裁判の論告求刑公判が6日、京都地裁(川上宏裁判長)であった。検察側は被告に完全責任能力があるとして懲役30年を求刑。弁護側は改めて無罪を主張し、結審した。判決は27日。

 公判では被告の精神状態や責任能力が争点となった。論告で検察側は、犯行の計画性や逃走などの行動は自然で合理的であり、精神疾患の影響はなかったと指摘。「ちゅうちょなく、冷酷で残虐な犯行」と非難した。

 弁護側は、精神疾患を理由に被告の就職の内定辞退を両親が会社に申し出た当時の経緯を踏まえ、「生きる権利を守るため、やむを得なかった」と主張。殺害は正当防衛に当たるとし、精神疾患の影響で刑事責任能力もなかったと訴えた。

 起訴状などによると、21年10月31日午後4時ごろ、山科区の自宅で、同区竹鼻扇町に住んでいた父親の会社員=当時(66)=と、母親=当時(61)=の頭をおので殴ったり、折りたたみナイフで首と胸を多数回突き刺したりして殺害。同日午後8時10分ごろ、三重県内の道路で車検が切れた軽乗用車を運転したとしている。

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